吉田拓郎 / 吉田町の唄

拓郎のアルバムの中ではマイナーな存在なのだろう。しかし、拓郎が原点に戻ろうとした気がする。自分にとっては愛聴盤の一つである。拓郎の幼い頃の写真をジャケットに使ったのも、原点回帰の印だと思う。そして、タイトル曲「吉田町の唄」にもそれが示されている。

その一節。「のびやかに しなやかに 育てよ 子供/やがて 大地 踏みしめ 太陽になれ」。拓郎の隠れた名曲である。

1. イントロダクション
2. 夕映え
3. 夏・二人で
4. いつもチンチンに冷えたコーラがそこにあった
5. そうしなさい
6. 海を泳ぐ男
7. 今度はいったい何回目の引越しになるんだろう
8. ありふれた街に雪が降る
9. 想ひ出
10. 吉田町の唄
11. 僕を呼び出したのは

吉田拓郎 - lead & background vocals, Rickenbacker guitar, electric guitars, harmonica
石川鷹彦 - acoustic 6 & 12 string guitars, dobro, mandolin, banjo, bouzouki, electric sitar, gut guitar
竹田元 - keyboards & synthesizers, Rhodes piano, organ, accordion
松尾一彦 - electric 6 & 12 string guitars, background vocals
清水仁 - bass, background vocals
岡沢章 - bass
今泉正義 - drums
谷口陽 - lap steel, Hawaiian steel guitar
稲葉政裕 - electric guitars
鎌田裕美子 - acoustic piano, organ, accordion
鎌田清 - drums
榊原雄一 - bass

発売 1992年7月29日

吉田拓郎 / detante

このアルバムは、どうにも評価が難しい。つまり、ここでの曲は、その後にライブなどで唄われていないから。拓郎にとっては、アルバムを創るために作り上げた曲を並べたとも言える。その中に、かつての名曲「地下鉄にのって」を入れたのも意味が分からない。迷走していた拓郎の時代。

以上のことを2014年2月のブログで書いた。アルバムLIVE 2014(録音 2014年7月22日 / 東京国際フォーラム)では、2曲目の「たえなる時に」を収録。確かに、本作の中では拓郎らしい秀作である。Wikipediaには次の2項目が書かれていた。髪を切って拓郎で有り続けることの緊張をほぐしたと言うことだろうか。
・このアルバムのジャケットから髪を短くしている。
・タイトルのdetente(デタント)はフランス語で、緊張緩和という意味である。

1. 放浪の唄
2. たえなる時に
3. シリアスな夜
4. ロマンチックを送って
5. 渚にて
6. ひとりぼっちの夜空に
7. 地下鉄にのって
8. 青空
9. 男達の詩
10. 友あり
11. レールが鳴ると僕達は旅がしたくなる
12. 時には詩人のように
13. 裏窓

発売 1991年6月12日

吉田拓郎 / 176.5

「落葉」で始まり「祭りのあと」で閉めているアルバム。残りの9曲は、その後のライブなどでは唄われていない。「俺を許してくれ」のみが、アルバム「18時開演」で再演。アルバムタイトルは、拓郎の身長。どうにもこうにも拓郎らしい曲作りができなかった時代。

考えようによっては、1980年終わりは「主題」がなかった時代でもある。フォークというジャンルから出てきたアーティストは、迷走せざるを得なかった。なので、「落葉」で始まり「祭りのあと」で閉めるしかなかったのだろう。それでも、アルバムを出さなければならないという、ある意味での悲しさ。ジャケットの拓郎の表情がそれを物語っている。

1. 落陽
2. 星の鈴
3. 車を降りた瞬間から
4. 俺を許してくれ
5. 30年前のフィクション
6. しのび逢い
7. 妄想
8. 憂鬱な夜の殺し方
9. 光る石
10. はからずも、あ
11. 祭りのあと

発売 1990年1月10日