吉田拓郎 / ひまわり

全曲が拓郎の作詞作曲。残念ながら、決め手となる曲はない。唯一が「シンシア」。差別用語が含まれていると指摘され生産中止となったアルバム『今はまだ人生を語らず』に収録されていた「シンシア」が、このアルバムで復活。前作では、かまやつひろしとのデュオであったが、ここでは拓郎一人で歌っている。この一曲に価値があるアルバム。

1. ひまわり
2. 約束 ~永遠の地にて~
3. 遠い夜
4. その人は坂を降りて
5. 楽園
6. 冬の雨
7. シンシア '89
8. 帰路

発売 1989年2月8日

吉田拓郎 / MUCH BETTER

正直に言えば、80年代後半から90年代にかけての拓郎を聴くのは辛い。唄うべき焦点が定まらない拓郎。歌詞が軽くて、自分自身が拓郎を聴かなくなった時期と重なる。MUCH BETTERでは、拓郎と共に歩んできたファンにとっては、かなり物足りなかったはずだ。逆に、拓郎にとってみれば、もう好きにさせてくれという心境だったのだろう。泉谷しげるの「眠れない夜」までカバーしてしまった。

ところが、商品説明はこんな感じ。「これはいい。吉田拓郎の80年代を代表するアルバムになりそうだ。彼のボーカルには、以前ほどの力強さ、きき手をねじ伏せる迫力はないが、幾分の脆ささえも歌の説得力を深めている。サラリとした歌いっぷりと、音楽的バラエティとの関係も申し分ない」。だったら、何でMUCH BETTERだったのかの説明が欲しい。

1. 「うの」ひと夏 by 高杉
2. 眠れない夜
3. 気がついたら春は
4. 流れ流され
5. よせばいい
6. MR.K
7. すなおになれば
8. いくつもの夜が
9. 現在の現在(いまのいま)

発売 1988年4月21日

吉田拓郎 / サマルカンド・ブルー

全10曲、安井かずみ作詞、加藤和彦編曲。その中で、3曲が加藤和彦作曲で、残りの7曲が拓郎の作曲。シンガーソングライターという言葉は死語になりつつあるが、それを維持できなかった拓郎だった。

決して批判するわけではないが、1980年代半ばに「作詞」できなくなった拓郎に、自分は興味がなくなったのは事実。もう40年近く前の出来事である。今、改めて聴くと「演歌」。安井かずみの詩が貧弱に思えて仕方がない。唯一、3曲目の「パラレル」ぐらいだろうか。 この時代を切り取った曲は。

1. レノン症候群
2. サマルカンド・ブルー
3. パラレル
4. ロンリー・ストリート・キャフェ
5. 七つの夜と七つの酒
6. 時は蠍のように
7. 風のダイアローグ
8. 君の瞳に入りたい
9. 初夏'76
10. 人生キャラバン

発売 1986年9月5日