コルトレーン後期の中では、特別に評価されてこなかったアルバム。その理由は2つある。まずは明確なタイトルを付けなかったこと。書籍などでThe John Coltrane Quartet Playsという記述を見ただけでは、本作を思い浮かべるのは困難。コルトレーンの作品BrasiliaかSong Of Praiseをタイトルにすべきだった。さらに、録音データによる本作の位置づけ。1964年12月録音のアルバムA Love Supreme、65年6月録音のアルバムAscensionの中間となる65年2月と3月に録音。これら前後は、コルトレーンの最重要作品として評価されてきたアルバム。その間で埋もれてしまった。
しかし、いよいよ完全フリーへ向かう前夜祭的な印象を打ち出している。肯定的な意味で、正気と狂気のはざまが存在している。ディズニー映画『メリー・ポピンズ』の主題歌「チム・チム・チェリー」を持ち込んだのも、ある種の狂気なのだ。自分が所有するジャズのアルバムで、この曲を取り上げたのは本作のみ。コルトレーン自身でさえ、二度と演奏していないのだ。
1. Chim Chim Cheree
2. Brasilia
3. Nature Boy
4. Song Of Praise
John Coltrane - tenor saxophone, soprano saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Art Davis - bass (track 3)
Elvin Jones - drums
Recorded on February 18 (track 3) and May 17 (tracks 1, 2 & 4), 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.