World Saxophone Quartet / Live In Zurich

ライナーノーツはLeonard Feather(レナード・フェザー)が担当。CDには原文、LPにはその翻訳文が載っている(訳者は不明)。その中で、フェザーはジュリアス・ヘンフィルのコメントを引き合いに出している。「われわれはもう互いにかなり良く知り合っているので、リスナーにとってはどこで譜面に書かれたパッセージが終わり、どこからアドリブが始まるのか言い当てるは難しくなっている。どんな演奏会においても、われわれが演奏するものの60%から70%は即興といっていいと思う」。

これはかなり驚異である。ドラムもベースもない管楽器4本だけの演奏で、アドリブを中心に展開していくには、ヘンフィルが言うようにメンバー間の関係が強固でないと成り立たないだろう。YouTubeで彼らのライブステージを見ることができた。4人のそれぞれの前に譜面が置かれているが、譜面を見ているのは、演奏の最初と最後だけのようだった。

1. Hattie Wall
2. Funny Paper
3. Touchic
4. My First Winter
5. Bordertown
6. Steppin'
7. Stick
8. Hattie Wall

David Murray - tenor saxophone, bass clarinet
Julius Hemphill - alto saxophone, tenor saxophone, flute
Olivier Lake - alto saxophone, tenor saxophone, soprano saxophone, flute
Hamiet Bluiett - baritone saxophone, flute, clarinet

Recorded on November 6, 1981 in Zurich, Switzerland.

World Saxophone Quartet / Revue

ジャズとブルースの本質が詰まったアルバム。4人のサックス奏者のみで音楽空間を演じる。決してフリーではなく、決して楽譜による演奏ではない。だけど、過度な緊張感でもなく、それぞれが自己をコントロールしながらジャズという音楽を創り上げている。

彼らがグループの名前にWorldと銘打ったことは、1980年当時のジャズに対する方向性を示したかったのだろう。それから40年以上たった今、ジャズそのもののポテンシャルが残念ながら下がってしまった。それはそれとして、例えば5曲目I Heard Thatの見事なサックスのアンサンブル。混沌とした1980年代のジャズに、エネルギーを注ぎ込んだ彼らのアルバムである。

1. Revue
2. Affairs Of The Heart
3. Slide
4. Little Samba
5. I Heard That
6. Hymn For The Old Year
7. Ming
8. David's Tune
9. Quinn Chapel A.M.E. Church

David Murray - tenor saxophone, bass clarinet
Julius Hemphill - alto saxophone, tenor saxophone
Olivier Lake - alto saxophone, tenor saxophone, soprano saxophone
Hamiet Bluiett - baritone saxophone, alto clarinet

Recorded on October 14, 1980 at Georges Pompidou Centre, Paris.

World Saxophone Quartet / W.S.Q.

ジャズの世界でよく使われる言葉。インタープレイ。いろいろな訳し方があると思うが、単純に「会話」と言ってもいいだろう。ピアノ、ベース、ドラム、管楽器などの異なる楽器での会話が一般的である。だが、ここでの会話はサックス(クラリネットを含む)同士の4人での会話。

アルバムPoint Of No Return(1977年6月ライブ録音)、Steppin'(78年12月録音)に続く、WSQ(ワールド・サキソフォン・カルテット)の3枚目のアルバム。これらを順番に聴くと、明らかに会話が饒舌になってきている。互いの手癖が分かって来たからだろう。さらに、前作Steppin'に入れていたフルートを外したことで、重厚感も増している。残念なのはタイトル。グループ名の略語では芸がない。

1. Sundance
2. Plain Song
3. Connections
4. W.S.Q.
5. Pillars Latino
6. Suite Music
7. Sound Light
8. Fast Life

David Murray - tenor saxophone, bass clarinet
Julius Hemphill - alto saxophone, soprano saxophone
Oliver Lake - alto saxophone, tenor saxophone, soprano saxophone
Hamiet Bluiett - baritone saxophone, alto clarinet

Recorded in March 1980 at Sound Height Studio, Brooklyn, N.Y.