Wynton Kelly / Kelly Blue

1959年2月、ウィントン・ケリーのピアノトリオにフロント3管を加えて録音。そして、翌3月にはピアノトリオだけの録音。この録音データから、企画されたアルバムだと言える。セッションの日程が逆であれば、フロント陣はアルバムの穴埋めに呼び出されたことになるから。

ただし、本作の真髄はピアノトリオにあって、極めつきは2曲目のSoftly, As In A Morning Sunriseだろう。こんなブルーな「朝日のようにさわやかに」なんて、滅多に出会えない。ジャケットのケリーが、「いやぁ、上出来だったぜ!」と言っている感じ。タイトルと演奏内容、そしてジャケットが一体となった名盤である。

1. Kelly Blue
2. Softly, As In A Morning Sunrise
3. On Green Dolphin Street
4. Willow Weep For Me
5. Keep It Moving [take 4]
6. Old Clothes
7. Do Nothin' Till You Hear From Me
8. Keep It Moving [take 3]

Tracks 1, 5 & 8
Benny Golson - tenor saxophone
Nat Adderley - cornet
Bobby Jaspar - flute
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums
Recorded on February 19, 1959 in NYC.

Tracks 2, 3, 4, 6 & 7
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums
Recorded on March 10, 1959 in NYC.

Wynton Kelly / Piano

このアルバムのタイトルはPiano。しかし、国内盤はWhisper Notとしている。Pianoではアルバムのイメージが伝わらないということだったのだろう。だが、1曲目のWhisper Notを単にタイトルにしたことで、日本人スタッフの手抜きが、よく伝わってしまう。本作は、ウィントン・ケリーとケニー・バレルのコンビネーションが最大の聴きどころ。Pianoがだめなら、Kelly & Burrellのようなタイトルが適していたはずだ。

それよりも、重要なのはフィリー・ジョー・ジョーンズが前半の4曲にしか参加していないこと。ネット上で、セッションに遅刻したという情報を見つけたが、その根拠は示されていない。当然のことながら、プロデューサーであるオリン・キープニュースによる英文ライナーノーツには、そのことには何も触れていない。もし、遅刻ならば、それはプロデューサーの責任でもある。アルバム全体を通して聴くと、ドラムレスの後半4曲はバレルのギターがリズムを見事にキープ。そもそも、Pianoというタイトルに無理があったような気がする。

1. Whisper Not
2. Action
3. Dark Eyes
4. Dark Eyes [take 2]
5. Strong Man
6. Ill Wind
7. Don't Explain
8. You Can't Get Away

Kenny Burrell - guitar
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums (tracks 1-4)

Recorded on January 31, 1958 in NYC.

World Saxophone Quartet / Moving Right Along

WSQ(ワールド・サキソフォン・カルテット)の1993年10月録音アルバム。CD帯から。「WSQ通算11枚目のアルバム! ハミエット・ブルイエット、デヴィッド・マレイ、オリヴァー・レイク、エリック・パーソンという鉄壁の4人に加え、ゲストにフレディ・ハバードの懐刀ジェイムズ・スポルティングが加わった最強のアルバム!」。

鉄壁や最強という言葉と2度もビックリマークが付いている。しかし、このアルバムのポイントはAmazing Graceとコルトレーン作Giant Stepsを収録したこと。それまで、WSQは自分達の作品をサックスだけで表現してきた。本作では、古典的な曲を組入れることに挑戦したアルバムであることが重要。その新鮮さが現れているのだが、中途半端に終わってしまった感じ。徹底的にスタンダード曲に拘るとか、ゴスペル曲だけで貫き通していれば、WSQのポテンシャルは非常に上がったのではないかと思う。

1. Antithesis
2. Baba 2
3. N.T.
4. Astral Travels
5. Land Of Mystery
6. Movin' On
7. Amazing Grace Part I
8. Giant Steps
9. Urban
10. Sharrod
11. M.I.L.D.
12. Lightning And Thunder
13. Amazing Grace Part II

David Murray - tenor saxophone, bass clarinet
Oliver Lake - alto saxophone, soprano saxophone
Eric Person - alto saxophone, soprano saxophone
Hamiet Bluiett - baritone saxophone, contralto clarinet
James Spaulding - alto saxophone (tracks 11,12)

Recorded on October 18 & 19, 1993 at Sear Sound, New York.