Miles Davis / In Paris Festival International

所有するマイルのアルバムの中で最も古い録音。タッド・ダメロンがリーダーであるものの、マイルスとの双頭コンボと位置付けられている。ライブ演奏で録音はかなり悪い。だが、フランス人には熱狂的に迎えられたことがうかがえる。「黒人」であることのハンディが、ヨーロッパ、特にフランスではなかったという事実も見えてくる。

LPを所有していた頃は、録音の悪さだけでなく司会者がうるさく、ターンテーブルにはほとんど乗せなかった。大和明氏のライナーノーツ(1977年10月1日付け)を読み直したところ、ラジオ生放送のエア・チェックが音源であることが分かった。「パリの聴衆にとってこのダメロン=デイビス・クインテットの演奏はチャーリー・パーカー・クインテットと並ぶ当時の“ニュー・ジャズ”として期待をもって迎えられた。そして彼らは見事にその期待に応えた第一級の演奏を披露したのであった。それはエア・チェックをソースとしたこのアルバムを聞いていただければ一目瞭然とするであろう」。偶然に生まれたアルバムである。

1. Rifftide
2. Good Bait
3. Don't Blame Me
4. Lady Bird
5. "Wah" "Hoo"
6. Allen's Alley
7. Embraceable You
8. Ornithology
9. All The Things You Are

Miles Davis - trumpet
James Moody - tenor saxophone
Tadd Dameron - piano
Barney Spieler - bass
Kenny Clarke - drums

Recorded on May 8, 9, 12, 14 & 15, 1949 at the Paris Festival International de Jazz, Paris.

森山威男 / 山

このアルバム『山』の前編である『森』と同様に、ライナーノーツで森山自身が父親のことを書いている。『山のように威厳のあった父のこと。〈中略〉高校生のとき、父は俺を歯医者にしたかったらしい。父にお願いをした。「俺、ドラムをやりたいんだ。東京に習いに行かせてくれ」「本当にそうしたいなら、やりなさい。心配するな」と言ってくれた。死ぬ気でがんばろう、と思った。〈中略〉ドラマーになっても父は俺をだめな息子だと思っていたらしい。初めて俺の演奏を聞いた後、言った。「そんなに汗をかいて、命っきり叩かんと生活できんのか」大笑いした。〈中略〉入院中の父の耳元で「赤とんぼ」を歌ってあげた。じっとしていた。山のように。』

前編『森』は重量感、後編『山』は高揚感。『森』と『山』で、森山威男は一つの頂点に登り詰めた。

1. A Fox In The Woods
2. Sound River
3. Hey, Open Up!
4. Tribute To Trane
5. Sunrise

音川英二 - soprano saxophone, tenora saxophone
George Garzone - soprano saxophone, tenora saxophone
田中信正 - piano
望月英明 - bass
森山威男 - drums

Recorded on March 9 & 10, 2002 at studio F, Tajimi-shi, Gifu.

森山威男 / 森

ライナーノーツで、森山自身が父親のことを書いている。『森のように静かだった父のこと。〈中略〉高校生のとき、親をだまして金をせしめ、パチンコをした。玉をはじいている俺の後ろから「この台は出るか」と声がした。片手に玉を持った父が隣の台に座った。二度と親をだますまいと思った。〈中略〉70歳を過ぎたとき、父が言った。「俺は歯医者には向いていないような気がする」「いまさら」と思った。〈中略〉80歳を過ぎたとき、無口な父が力強く言った。「威男!今からでも遅くはない。頑張れば二人で立派な狸になれる」分からん。入院中の父の耳元で「赤とんぼ」を歌ってあげた。静かだった。森のように。』

このアルバム『森』と続編アルバム『山』は、同じメンバーでの同日録音。『森』は重量感のある奥深い印象を与える。スイングジャーナル選定ゴールド・ディスク。いや、それ以上に存在感のアルバムである。

1. The Immigrant
2. Gratitude
3. In A Sentimental Mood
4. The House Of The Rising Sun
5. Hole In The World

音川英二 - soprano saxophone, tenor saxophone
George Garzone - soprano saxophone, tenor saxophone
田中信正 - piano
望月英明 - bass
森山威男 - drums

Recorded on March 9 & 10, 2002 at studio F, Tajimi-shi, Gifu.