Miles Davis / Live At The Barrel

LPのときはVol.1とVol.2に分かれていたが、CDで1枚にまとめられた。ジミー・フォレストのコンボにマイルスが飛び入り参加したアルバム。なので、正確にはマイルス名義のアルバムではない。ジミー・フォレストは「ナイト・トレイン」のヒットを放ったと、Vol.1の油井正一氏とVol.2の岡崎正通氏がライナーノーツで書いている。確かに軽快な曲であるが、ジャズ的な要素はあまり感じない。そういうバンドにマイルスは飛び入りで出演したので、アルバムの価値は、(少なくともマイルスから見れば)高いとは言えない。マイルス・デイビス自叙伝①では、この頃のことを以下のように書いている。演奏内容よりも、麻薬と女の話題が中心。

『あの頃、セントルイスではたいしたテナーサックス奏者だったジミー・フォレストと、知り合いになった。彼もジャンキーで、どこで最高のヤツが手に入るかを知っていた。まもなくオレとジミーは、セントルイスのデルマーにあった「バレル・ハウス」という所で、しょっちゅう演奏しはじめた。客はほとんど白人で、若くて素敵な金持の白人娘にあったのも、ここだった』。

1. Ray's Idea
2. A Night In Tunisia
3. Wee Dot
4. What's New
5. Perdido
6. All The Things You Are
7. Our Delight
8. Lady Bird
9. Oh Lady, Be Good

Miles Davis - trumpet
Jimmy Forrest - tenor saxophone
Charles Fox - piano
Johnny Mixon - bass
Oscar Oldham - drums
Unknown Artist - congas

Recorded in Spring 1952 at The Barrel, St. Louis, MO.

Miles Davis / Dig

マイルス・デイビス自叙伝①には、本作についてこう書かれている。「プレスティッジは、マイクログルーブという新しい技術を使って、レコーディングしようとしていた。〈中略〉つまり、クラブのライブみたいに、長いソロが取れるというわけだ。信じられなかった。オレは、33 1/3回転盤でレコーディングする最初のミュージシャンになろうとしていたし、この新技術がもたらす自由な可能性に興奮していた。それまでの、お決まりの3分間の演奏には飽き飽きしていたんだ。大急ぎでソロを始めて終わらせなくちゃならないし、本当に自由なソロを取る余裕なんてなかったんだ」。マイクログルーブ、すなわちLPについて調べたところ、ジャズアルバムとして本作が最初に3分の壁を破ったのは確からしい。

さらに、自叙伝はこう続く。「オレはレコーディングのために、ソニー・ロリンズ、アート・ブレイキー、トミー・ポッター、ウォルター・ビショップ、ジャッキー・マクリーンを集めたが、これがジャッキーの初レコーディングにもなった。このレコーディングは、最高の演奏になった。トランペットの練習は十分、おまけにバンドのリハーサルもやったから、誰もが素材やアレンジに慣れていた。ソニーはここでもたいした演奏をしたが、ジャッキーもよくやった」。マイルスのロリンズへの過大評価には首をかしげてしまうが、本作以降のロリンズの進化を我々は知っているからなのだ。

1. Dig
2. It's Only A Paper Moon
3. Denial
4. Bluing
5. Out Of The Blue
6. Conception
7. My Old Frame

Miles Davis - trumpet
Sonny Rollins - tenor saxophone
Jackie McLean - alto saxophone
Walter Bishop Jr. - piano
Tommy Potter - bass
Art Blakey - drums

Recorded on October 5, 1951 at Apex Studio, NYC.

Miles Davis / Birth Of The Cool

中古CDを1円(送料別)で購入。「歴史的大名盤」が1円である。それはさておき、LPとは曲順が微妙に異なっていた。B面1曲目のDarn That Dreamのみが、何故かラストに移動。2度ほど聴き直して、理由が分かった。この曲だけがボーカル入りである。LPならばB面に針を落としてボーカルから始まっても違和感はない。CDで中ほどにボーカルが突然入ってしまうと、なんとも拍子抜け。さて、以下は油井正一氏のLPのライナーノーツから。

『このアルバムに「クールの誕生」と名付けたのは、キャピトルのアイデアであり、マイルス自身は「どうしてクールというレッテルを貼ったのか、僕には分からない」と言うし、ジェリー・マリガンは「クールの誕生というアルバム名は悪くないと思うが、果たしてあれがクールの始まりかどうか僕にも分からない」と言っている』。

ところが、レコード会社は「歴史的大名盤」と位置付けセールスした。スイングジャーナル誌もゴールド・ディスクに選定。歴史的に価値があることは認めるが、その後のジャズの展開に影響を及ぼしたかは、やはり疑問である。実験的な試みであったに過ぎない。

1. Move
2. Jeru
3. Moon Dreams
4. Venus De Milo
5. Budo
6. Deception
7. Godchild
8. Boplicity
9. Rocker
10. Israel
11. Rouge
12. Darn That Dream

Tracks 1, 2, 5 & 7
Miles Davis - trumpet
Lee Konitz - alto saxophone / Gerry Mulligan - baritone saxophone
Kai Winding - trombone / Junior Collins - French horn / Bill Barber - tuba
Al Haig - piano / Joe Shulman - bass / Max Roach - drums
Recorded on January 21, 1949.

Tracks 3, 6, 9 & 12
Miles Davis - trumpet
Lee Konitz - alto saxophone / Gerry Mulligan - baritone saxophone
J.J. Johnson - trombone / Gunther Schuller - French horn / Bill Barber - tuba
John Lewis - piano / Al McKibbon - bass / Max Roach - drums
Kenny Hagood - vocal (track 12)
Recorded on March 9 or 13, 1950.

Tracks 4, 8, 10 & 11
Miles Davis - trumpet
Lee Konitz - alto saxophone / Gerry Mulligan - baritone saxophone
J.J. Johnson - trombone / Sandy Siegelstein - French horn / Bill Barber - tuba
John Lewis - piano / Nelson Boyd - bass / Kenny Clarke - drums
Recorded on April 22, 1949.