Miles Davis / Volume 2

Vol.1は1952年5月と54年3月の2つのセッションを組み合わせたもの。Vol.2の本作は、その中間の53年4月のセッションという奇妙な構成になっている。マイルス・デイビス自叙伝①では、録音した4月20日の事が詳しく書かれている。

「この日のことはよく覚えている。というのも、オレとジミー・ヒースで、エルモ・ホープからどうやってヘロインを手に入れようかと、いろいろ算段したからだ。エルモはピアニストだったが、ヘロインの売人みたいなことをやっていた。レコーディング・スタジオが彼の近所だったから、演奏の前にちょっとハイになるために、すこしばかりヘロインが欲しかったんだ。〈中略〉で、プロデューサーのアルフレッド・ライオンに、ジミーが楽器のリードが必要なんで、オレも一緒に行ってリードの箱を運んでくると嘘をついた。誰だって知っているだろうが、リードの箱なんて石鹸くらいの大きさで、持ってくるのに二人も要るわけがない。アルフレッドが信じたのか、勝手にさせておいたのか知らんが、とにかくそんなわけで、あのレコーディングの時は、めちゃくちゃハイになっていた」。演奏内容より、ヘロインの話が中心だ。

1. Kelo [alternate take]
2. Kelo
3. Enigma [alternate take]
4. Enigma
5. Ray's Idea [alternate take]
6. Ray's Idea
7. Tempus Fugit
8. Tempus Fugit [alternate take]
9. C.T.A. [alternate take]
10. C.T.A.
11. I Waited For You

Miles Davis - trumpet
Jimmy Heath - tenor saxophone
J.J. Johnson - trombone
Gil Coggins - piano
Percy Heath - bass
Art Blakey - drums

Recorded on April 20, 1953 at WOR Studios, NYC.

Miles Davis / Volume 1

1952年5月と54年3月の2つのセッションをまとめたアルバム。マイルス・デイビス自叙伝①では、ジャッキー・マクリーンがYesterdaysから抜けた理由、ホレス・シルバーのモンク的アプローチについて、以下のように書かれている。

「1952年のある日、アルフレッド・ライオンのブルーノート・レーベルに初めてレコーディングした。プレスティッジとは専属契約じゃなかったから、できたんだ。〈中略〉全員が本当にすばらしい演奏をして、オレ自身も良い出来だと思った。Yesterdaysをやっている時、マクリーンは、また同じヘマをしやがった。オレはカッとなって、役立たずを怒鳴りつけて、冷酷に罵った。泣き出すんだじゃないかと思ったほどにだ。で、まったくうまく吹けなかったから、この曲では休ませた。それがYesterdaysに奴が入っていない理由だ」。

「オレはシルバーのピアノが好きだった。あの頃すごく気にっていた、ファンキーな雰囲気を持っていた。彼がオレの演奏のバックで燃え上がり、しかもアートが叩いていたから、おちおちしていられないんだ。勢いに押されないように、しっかり吹かなきゃダメだった。ホレスと初めて一緒にやった、ブルーノートのレコーディングでは、Well, You Needn'tとIt Never Entered My Mindで、モンクのような演奏をさせた」。つまり、シルバーはモンクのように弾けとマイルスから強制されていた訳である。

1. Dear Old Stockholm
2. Chance It [alternate take]
3. Chance It
4. Donna [alternate take]
5. Donna
6. Woody'n You [alternate take]
7. Woody'n You
8. Yesterdays
9. How Deep Is The Ocean
10. Take Off
11. Lazy Susan
12. The Leap
13. Well, You Needn't
14. Weirdo
15. It Never Entered My Mind

Tracks 1 - 9
Miles Davis - trumpet
Jackie Mclean - alto saxophone (except tracks 8,9)
J.J. Johnson - trombone (except tracks 8,9)
Gil Coggins - piano
Oscar Pettiford - bass
Kenny Clarke - drums
Recorded on May 9, 1952 at WOR Studios, NYC.

Tracks 10 - 15
Miles Davis - trumpet
Horace Silver - piano
Percy Heath - bass
Art Blakey - drums
Recorded on March 6, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Miles Davis / And Horns

1951年1月と53年2月の2つのセッションをまとめたアルバム。しかも、それぞれのセッションはメンバーが全く異なる。安い中古CDを見つけたので購入したのだが、何故かLPのB面(53年セッション)を先に配置。しかし、CD化でBlue Roomの別テイクが加わった。ところが、この別テイクにはスクラッチノイズが入っていて最悪。これには事情があったことが判明。51年のセッションはソニー・ロリンズが参加しているが、ノイズのないテイクでは何かの理由でロリンズが抜けているのだ。オリジナルアルバムはロリンズ参加テイクを見送り、ノイズ無しテイクを選んだ訳である。

もう一つ判明したのは、ジャケットが漫画家Don Matin(ドン・マーティン)作であるということ。何を表現しようとした漫画なのか、何故にこのアルバムのジャケットに選んだのかは、未だに謎である。

1. Tasty Pudding
2. Willie The Wailer
3. Floppy
4. For Adults Only
5. Morpheus
6. Down
7. Blue Room
8. Blue Room [alternate take]
9. Whispering

Tracks 1, 2, 3 & 4
Miles Davis - trumpet
Zoot Sims - tenor saxophone
Al Cohn - tenor saxophone
Sonny Truitt - trombone (track 3)
John Lewis - piano
Leonard Gaskin - bass
Kenny Clarke - drums
Recorded on February 19, 1953 at Beltone Studios, NYC.

Tracks 5, 6, 7, 8 & 9
Miles Davis - trumpet
Sonny Rollins - tenor saxophone (except track 7)
Bennie Green - trombone
John Lewis - piano
Percy Heath - bass
Roy Haynes - drums
Recorded on January 17, 1951 at Apex Studios, NYC.