Miles Davis / Bags' Groove

7曲中の2曲は別テイクだが、CDでのボーナストラックではない。1957年12月リリースの本作は、54年6月と12月の2回のセッションを収録。12月のセッションの多くは、59年5月リリースのアルバムThe Modern Jazz Giantsに収録され、録音から5年経って全てが公開されたことになる。プレスティッジというレーベルはジャズ界に大きな役割を果たしたが、リアルタイムで伝えて来なかった罪も大きい。

マイルス自叙伝①では、6月のセッションについてこう書いている。「ケニーを選んだのは、オレが求めていたサウンドに、アート・ブレイキーより細かい陰影をつけることができて、変化に富んだ演奏ができると思ったからだ」。「あのレコーディングの時ソニーは曲を用意してはいたが、実際はスタジオで全部書き直したんだ。〈中略〉すると奴はどこか隅のほうに行って、少し経つと紙切れに何か書いて戻ってきて、“OK、マイルスできたよ”と言うんだ。そんな調子で生まれた曲の一つがオレオだった。タイトルは、バターの安い代替品として大きな話題になっていた”オレオマーガリン”から取ったんだ」。Oleoの由来がマーガリンとは知らなかった。そして、ケニー・クラークの変化に富んだドラムを聴くべきアルバムであることが分かった。

1. Bags' Groove [take 1]
2. Bags' Groove [take 2]
3. Airegin
4. Oleo
5. But Not For Me [take 2]
6. Doxy
7. But Not For Me [take 1]

Tracks 1 & 2
Miles Davis - trumpet
Milt Jackson - vibraphone
Thelonious Monk - piano
Percy Heath - bass
Kenny Clarke - drums
Recorded on December 24, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 3 - 7
Miles Davis - trumpet
Sonny Rollins - tenor saxophone
Milt Jackson - vibraphone
Horace Silver - piano
Percy Heath - bass
Kenny Clarke - drums
Recorded on June 29, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Miles Davis / Walkin'

学生時代。当然ながら金はなく、ジャズの名盤を少しずつ買い集めながら、購入したアルバムを何度も繰り返し聴いていた。このアルバムもその一つで、一曲目のWalkin'に酔いしれた。ジャズ研での練習を終え、焼き鳥屋で安酒を飲んだ帰り、Walkin'の最初のフレーズ「タッターラァー・タッタッァ…」を口ずさみながらタイトルのようにウォーキングできるかという実験?をした。

結果は失敗。素直に両足が前へ進まない。マイルスは、この曲の演奏中はスタジオや舞台で歩いていない、というの結論に達したのだ。その時、(飲んで)歩くには3拍子がピタッと来ることをメンバーで発見。で、自分たちの次の課題曲はMy Favorite Thingsに決定。

ところで、本アルバム唯一の白人プレイヤーDavey Schildkraut(デイブ・シルドクラウト)の名前はジャケット表にはなぜか記載されていないが、ジャケット裏ではIra Gitler(アイラ・ギトラー)がornithologistと紹介している。鳥類学者、つまりチャーリー・パーカー派ということ。彼を含んだ1954年4月3日のセッションでは、このアルバム以外にI'll Remember Aprilも吹き込んでいて、それはアルバムBlue Hazeに収録されている。

1. Walkin'
2. Blue 'N' Boogie
3. Solar
4. You Don't Know What Love Is
5. Love Me Or Leave Me

Tracks 1 & 2
Miles Davis - trumpet
Lucky Thompson - tenor saxophone
J.J. Johnson - trombone
Horace Silver - piano
Percy Heath - bass
Kenny Clarke - drums
Recorded on April 29, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 3, 4 & 5
Miles Davis - trumpet
Davey Schildkraut - alto saxophone (except track 4)
Horace Silver - piano
Percy Heath - bass
Kenny Clarke - drums
Recorded on April 3, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Miles Davis / Blue Haze

極めて地味なマイルスのアルバム。その理由はジャケットにある。所有する全アルバム約2,000枚の中で最低限のレベル。しかし、内容は決して悪くない。3つのセッション(1953年5月、54年3月と4月)を寄せ集めたものだが、まとまり感があり、選曲のバランスがいい。後にスタンダード曲となったマイルス作Fourの最初の吹込みも聴けるのだ。

特筆すべきは、ミンガスがSmoochの1曲だけ参加している点。しかもピアノである。53年5月19日の出来事。ミンガスのディスコグラフィーによると、この日の録音はSmoochのみ。この曲はマイルスとミンガスの合作となっているが、別の録音は見当たらない。なぜにミンガスはピアノで1曲弾くためにスタジオ入りしたのか。いまだに謎である。

1. I'll Remember April
2. Four
3. Old Devil Moon
4. Smooch
5. Blue Haze
6. When Lights Are Low
7. Tune Up
8. Miles Ahead

Track 1
Miles Davis - trumpet
David Schildkraut - alto saxophone
Horace Silver - piano
Percy Heath - bass
Kenny Clarke - drums
Recorded on April 3, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 2, 3 & 5
Miles Davis - trumpet
Horace Silver - piano
Percy Heath - bass
Art Blakey - drums
Recorded on March 15, 1954 at Beltone Recording Studios, NYC.

Tracks 4, 6, 7 & 8
Miles Davis - trumpet
John Lewis - piano (tracks 6-8)
Charles Mingus - piano (track 4)
Percy Heath - bass
Max Roach - drums
Recorded on May 19, 1953 at WOR Studios, NYC.