Keith Jarrett / Arbour Zena

2013年7月15日のブログでは、こう書き始めた。「日本でのアルバムタイトルはブルー・モーメント。そもそもArbour Zenaの意味が分からないので、日本語タイトルを評価しようがない。そして、ライナーノーツでの岩波洋三氏は、タイトルに関しては一言も触れていない」。最近購入したCDは輸入盤でライナーノーツもなく、いまだにArbour Zenaの意味は不明。しかし、見開きの紙ジャケットを詳しく見ると、収録された3曲(すべてキースの作品)に副題があった。

Runes (Dedicated to the unknown)
Solara March (Dedicated to Pablo Casals and the sun)
Mirrors (Dedicated to my teachers)

Pablo Casals(パブロ・カザルス)はスペインのチェロ奏者。このアルバムが録音される2年前の1973年10月22日に他界している。カザルスからArbour Zenaにたどり着けるかと思ったが、手掛かりは何も見つからなかった。この件に関しては、もうあきらめるしかないだろう。さて、演奏内容であるが満点。アルバムタイトルが定着しなかったため、キースの代表作となっていないが、雄大で深淵な印象が残る名盤である。

1. Runes
2. Solara March
3. Mirrors

Keith Jarrett - piano, composer
Jan Garbarek - tenor saxophone, soprano saxophone
Charlie Haden - bass
Stuttgart Radio Symphony Orchestra - conductor Mladen Gutesha

Recorded in October 1975 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg, West Germany.

Keith Jarrett / Gnu High

カタログ上はフリューゲルホーンのケニー・ホイーラー名義のアルバム。ただ、自分の中ではキースのアルバムである。1975年1月24日録音『ケルン・コンサート』の5ヶ月後リリースされたアルバムなので、キース名義で管理すると彼の変化を捉えやすい。

完璧なECMサウンド。それだけに、彼らは自分達のやりたい音楽をやっていたのかと、ふと疑問に思う。やらされていた部分はなかったのかと。特に、キースやデジョネットは、もっと自由に表現したかったはずと感じてしまうのだ。ところで、Gnu Highが何を意味しているのか、未だにわからない。1983年9月に発表されたフリーソフトウェア・プロジェクトGNUと無関係なことは確か。

1. Heyoke
2. Smatter
3. Gnu Suite

Kenny Wheeler - flugelhorn
Keith Jarrett - piano
Dave Holland - bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded in June 1975 at Generation Sound Studios, NYC.

Keith Jarrett / The Köln Concert

すでに時効を過ぎているはずなので書いてしまう。このアルバムは、マージャンでジャズ研の後輩から巻き上げた。その後輩は、このアルバムを買ったと自慢げに言っていた。40年以上前のその頃、学生にとっては、そう簡単には買えない価格だった。たしか、彼からは5千円ほどの勝ちで、すぐには払えませんと言ったので、だったらあのLPでチャラにするけど、と交渉が成立。どうしようもない先輩である。

果たして、キースはピアノ向かってから、曲想を思い浮かべたのだろうか。それが事実かどうかは、たいした問題ではない。1週間前に浮かんでいようが、前日だろうが、それは演奏者側の話であって、聴き手は瞬間の音を感じるだけである。この時の聴衆は、1,400名だったそうだ。地球上には2種類しかいない。ケルン体験者とそうでない人と。残念ながら、自分は後者である。だから、アルバムを聴くしかない。CDは2016年12月に1,620円で購入。

1. Part I
2. Part IIa
3. Part IIb
4. Part IIc

Keith Jarrett - piano

Recorded on January 24, 1975 in Köln, West Germany.