Keith Jarrett / The Survivor's Suite

タイトルには組曲とあるが、Beginning(27分10秒)で始まってConclusion(21分18秒)の2曲で終わってしまう構成。だが、それぞれの曲の中に起承転結があり、何度も聴き込んでいくと一つのドラマを描いているような気がしてくる。さらに注意深く聴き込むと、多重録音している感じだ。多重録音を全面的に否定するつもりはない。しかしながら、アルバムSolo-ConcertsやThe Köln Concertで、究極のソロ・インプロビゼーションを演じたキースに、その必要性があったのだろうか。

トータル48分余りの演奏は、ダレる箇所が全くなく完璧。敢えて言えば、人影のないプール付きの家をジャケットにした点だろうか。せめて煙突から煙が出ていれば人の気配を感じたのに。それより、邦題の『残氓(ざんぼう)』の意味が未だに解らない。

1. The Survivor's Suite - Beginning
2. The Survivor's Suite - Conclusion

Keith Jarrett - piano, soprano saxophone, bass recorder, celeste, drums
Dewey Redman - tenor saxophone, percussion
Charlie Haden - bass
Paul Motian - drums, percussion

Recorded in April 1976 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg.

Keith Jarrett / Shades

キース・ジャレットは、1975年10月10日から12日までの3日間で、アルバムMysteriesとShadesを録音。インパルスは2枚組とはせず、どちらも1976年にリリース。以前は、この2枚がカップリングされ893円で販売されていた。何というか、バナナのたたき売り状態。

キースのアルバムの中では、隅に追いやられている感があるが、彼の本質をここでは捉えることができる。それは、ブルースに根差していないということ。ジャズの一つの本質は循環するブルース。キースはそこに立っていないのだ。このアルバムで、それが良く分かる。ジャズの視点で見れば、「影」の部分を演じてきたキースと言える。

1. Shades Of Jazz
2. Southern Smiles
3. Rose Petals
4. Diatribe

Keith Jarrett - piano, percussion
Dewey Redman - tenor saxophone, maracas, tambourine
Charlie Haden - bass
Paul Motian - drums, percussion
Guilherme Franco - percussion

Recorded on December 10, 11 & 12, 1975 at Generation Sound Studios, NYC.

Keith Jarrett / Mysteries

キース・ジャレットは、1975年10月10日から12日までの3日間で、アルバムMysteriesとShadesを録音。Wikipediaには、このセッションに関してのキースの発言を記載していて、非常に興味深い。I was trying to fulfill my contract with Impulse.(私はインパルスとの契約を果たそうとしたんだ)。2枚のアルバムに収められた8曲は、全てキースの作品である。

恐らく、詳細なスコアではなく、メンバーが共有できるようなスケッチだけを描いたのだろう。ここには名曲はないものの、5人の呼吸がぴったり合った名演が詰まっている。契約履行というプレッシャーに追い込まれ、底力を発揮したのだと言いたい。

1. Rotation
2. Everything That Lives Laments
3. Flame
4. Mysteries

Keith Jarrett - piano, flute, percussion
Dewey Redman - tenor saxophone, musette, percussion
Charlie Haden - bass
Paul Motian - drums, percussion
Guilherme Franco - percussion

Recorded on December 10 & 11, 1975 at Generation Sound Studios, NYC.