「フィル・ウッズとERM(ヨーロピアン・リズム・マシーン)」という表記はよく見るのだが、ERMの実態を詳しく書いた解説を読んだことがない。つまり、ERMだけで活動はしていたのか、メンバーは固定的だったのか、ウッズが米国に戻った1972年後に解散したのか。本作のキャッチコピーには「噂のレア盤、ついに復刻。英国の名手Gordon Beck(ゴードン・ベック)が参加したERMが、ドイツの名門ジャズ祭で繰り広げた伝説のライブ名盤」とある。
このライブの前に録音された所有するアルバムAlive And Well In Paris(1968年録音)とWoods Notes(69年)では、ERMはピアノGeorge Gruntz(ジョルジュ・グランツ)、ベースHenri Texier(アンリ・テキシエ)、ドラムDaniel Humair(ダニエル・ユメール)という構成。なので、ベックが参加したライブではなく、グランツからの交代ということになる。そして、「ライブ名盤」とあるが、フェイドアウトしている箇所がある。1970年にLPで発売された時、致し方なく鋏を入れたのだろう。2012年のCD化では完全バージョンすべきだった。名演とは言えるが、「手抜きの名盤」となってしまった。
1. Freedom Jazz Dance
2. Ode A Jean-Louis
3. Josua
4. The Meeting
Phil Woods - alto saxophone
Gordon Beck - piano
Henri Texier - bass
Daniel Humair - drums
Recorded on March 21, 1970 at The Frankfurt Jazz Festival.