J.J. Johnson / Quintergy

2曲目に収録されたブルー・ボッサが聴きたくて購入したアルバム。自身のブログ『日々JAZZ』でレビューしたトミー・フラナガンのアルバムMontreux '77の中で、この曲を紹介した。それに対して、J.J.ジョンソンもライブアルバムQuintergyで名演を残してますよ、というコメントを読者から頂いた。自分は全く知らなかったアルバムなので、新品はもちろん、中古CDですら見つけるのは難しいだろうと思ったが、ディスクユニオンがAmazonに安価な中古CDを出品。迷いなく、即注文。ちなみに、Quintergyの姉妹アルバムStandardsは完全に廃盤状態。

届いたのは、フランス製中古CD。ジャケットもCD自体も悪くない。ディスクユニオンに感謝。なによりも嬉しかったのは、全12曲で68分。十分に聴きごたえのあるアルバム。そして、肝心のブルー・ボッサだが、YouTubeでも閲覧できることを同じ読者の方から教えてもらっていた。こちらは、1993年の映像で、ピアニストとドラマーが異なるものの、ベースはどちらもルーファス・リード。YouTubeでは、彼のベースラインが非常に特徴的だったので、その5年前の88年7月の本作のライブでのベースラインに気持ちを集中させた。結果は・・・同じラインだった。完成された曲の完成させたベースラインを簡単には変えられないだろう。

ブルー・ボッサを聴くために手に入れたアルバムであったが、全体として、よくまとまっている。残念なのは、観客が熱狂(発狂?)するような演奏がないこと。つまり、アルバムStandardsと合わせて聴いてくれということなのだろう。ディスクユニオン、Standardsも出品してくれないだろうか。

1. When The Saints Go Marching In
2. Blue Bossa
3. Doc Was Here
4. Bud's Blues
5. Quintergy
6. Lament
7. Why Indianapolis - Why Not Indianapolis
8. It's All Right With Me
9. Coppin' The Bop
10. Nefertiti
11. You've Changed
12. Commutation

J.J. Johnson - trombone
Ralph Moore - saxophones
Stanley Cowell - piano
Rufus Reid - bass
Victor Lewis – drums

Recorded on July 9 & 10, 1988 at The Village Vanguard, NYC.

Thelonious Monk / The Last Concerts

アルバムタイトルは「最後のコンサート」だが、コンサートは複数形になっている。その理由は、1975年7月のニューポート・ジャズ・フェスティバル、72年6月のビレッジ・バンガードのライブを収録しているため。さらには、ボーナストラックとして66年3月のフランスでのライブが追加されている。複数であることは別として、モンクにとって75年7月が最後のライブであった訳ではない。英文ライナーノーツには、次の記述がある。

Considering that none of the three aforementioned 1976 performances had been recorded, this date marks Monk's last existing notes ever.(前述の1976年の3回の公演はいずれも録音されなかったことを考慮すると、この日付はモンクの現存する最後の記録である)。つまり、75年7月は、「記録された最後のコンサート」ということになる。そして、記録されたなかった76年の公演を終えた後、モンクは6年間の音楽活動を停止して、82年2月17日に他界。

なお、ライナーノーツによると、ビレッジ・バンガードはプライベート録音、フランスでのライブはラジオ放送音源とのこと。音質の悪さは致し方ないが、計152分の2枚組CDは、記録として十分に価値がある。

Disc 1
1. Announcement
2. I Mean You
3. Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are
4. We See
5. Misterioso
6. 'Round Midnight
7. Straight No Chaser
8. Off Minor
9. 'Round Midnight

Disc 2
1. Hackensack
2. Epistrophy (Theme)
3. Evidence
4. Blue Monk
5. Rhythm-A-Ning
6. Bright Mississippi
7. Epistrophy (Theme)
8. Blue Monk
9. Crepuscule With Nellie
10. Rhythm-A-Ning

Thelonious Monk - piano

Disc 1: tracks 1-6
Paul Jeffrey - tenor saxophone
Larry Ridley - bass
T.S. Monk - drums
Recorded on July 3, 1975 at Lincoln Center, Newport Jazz Festival, NYC.

Disc 1: tracks 7-9, Disc 2: tracks 1-7
Paul Jeffrey - tenor saxophone
Dave Holland - bass
T.S. Monk - drums
Recorded on June 15, 1972 at The Village Vanguard, NYC.

Disc2: tracks 8-10
Charlie Rouse - tenor saxophone
Larry Gales - bass
Ben Riley - drums
Recorded on March 23, 1966 in Amiens, France.

秋吉敏子 / Remembering Bud - Cleopatra's Dream

「Kindle Unlimited 読み放題」で購入した雑誌『ジャズ批評』2024年5月号。その特集は、「ルディ・ヴァン・ゲルダー生誕100周年」。サブタイトルは「伝説のエンジニアが追及した"ジャズの音"とは!?」となっている。自分自身は、いわゆるRVGサウンドに拘りを持っていないが、どんなアルバムが取り上げられているかと読んでみた。そこでは、本作を次のように紹介している。

「秋吉敏子が最も敬愛するピアニスト、バド・パウエルのオマージュ作品。レイ・ドラモンドやルイス・ナッシュといった90年代バップ・リバイバルの先頭を走っていたプレイヤーたちと共演している。もっと立体的な音にも出来たのだと思うが、50年代かそれ以前の雰囲気を出すために、中央に集中した音作りをしているのかもしれない。秋吉が縦横無尽に繰り出すビバップのインディオムは聴いて実に爽快。」

この「縦横無尽」という言葉に惹かれて本作を購入。確かに実に爽快。そして、ジャケット裏面には、1964年にニューヨークで撮影した秋吉とパウエルのツーショット。アルバムとしては、憎い演出である。残念なのは、本作を録音するに至った経緯など、秋吉のコメントが載っていないこと。

1. Cleopatra's Dream
2. Remembering Bud
3. Un Poco Loco
4. Oblivion
5. Celia
6. I'll Keep Loving You
7. Parisian Thoroughfare
8. Budo
9. Tempus Fugit
10. Dance Of The Infidels

Toshiko Akiyoshi - piano
George Mraz - bass (tracks 2-8)
Ray Drummond - bass (tracks 1,9,10)
Lewis Nash - drums (tracks 1,3,6-10)
Al Harewood - drums (tracks 2,4,5)

Recorded on 31 July 1990 and 1 August 1990 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.