マイルス自叙伝②で、マイルスはこう説明している。『プロデューサーのテオ・マセロは、「ポーギーとベス」や「スケッチ・オブ・スペイン」辺りから、テープを切ったりつないだりして編集するようになっていたが、このレコードも、そうやって作ったんだ。さらにオレとトレーンは、ソロを後からレコーディングしたりもした。この編集方法はテオのトレードマークのようになったが、当時は珍しくて変わった、興味深いやり方だった。「サムディ・マイ・プリンス・ウイル・カム」で初めて、ジャケットに黒人の女性を使うようコロンビアに要求した。それで、フランシスがあのレコードのジャケットに登場したってわけだ。オレのレコードだったし、オレはフランシスの「プリンス」でもあったから、当然だろ。それから、プフランシングという曲は、彼女のために書いたんだからな』。
テオ・マセロによるテープの切り貼りは知っていたが、ソロを別に録音して被せるという手法まで導入していたとは思わなかった。恐らく、ハンク・モブレーが抜けた5曲目のTeoで試みたのだろう。輸入盤CDには、本作の詳しい録音データが掲載されている。Teoはモブレーを含めて1961年3月20日に録音したが、完成に至らず。翌21日にモブレー抜きで2回録音している。1回目の録音テープを流しながら、マイルスとコルトレーンはソロの部分を録り直したということだろうか。そして、フィリー・ジョー・ジョーンズが1曲だけ参加したBlues No.2は、LPには収録されなかったが、CDではボーナストラックとなった。それまでは、オムニバス盤Circle In The Roundに収まっていたのだ。
1. Someday My Prince Will Come
2. Old Folks
3. Pfrancing
4. Drad-Dog
5. Teo
6. I Thought About You
7. Blues No.2
8. Someday My Prince Will Come [alternate take]
Miles Davis - trumpet
Hank Mobley - tenor saxophone (tracks 1-4,6-8)
John Coltrane - tenor saxophone (tracks 1,5)
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums (except track 7)
Philly Joe Jones - drums (track 7)
Recorded on March 7, 20 & 21, 1961 at Columbia 30th Street Studios, NYC.