Michel Petrucciani / Petrucciani NHØP

ミッシェル・ペトルチアーニの詳細なディスコグラフィーが見つからないので、何とも言えないが、ペデルセンと共演した音源は、このデュオアルバムだけのようだ。二人の名前で検索しても、本作しかヒットしない。だとすれば、選曲も含め入念なリハーサルをしたと想像できる。なぜなら、この2枚組CDに収められた15曲(1時間51分)が、全て完璧だからだ。しかも、数日間のライブから出来の良い演奏をピックアップしたのではなく、たった一日の演奏なのである。

所有する輸入盤CDは、フランスのレーベルDreyfus Jazzによるもの。2009年リリース。ライナーノーツもフランス語で「見る」だけだった。ところが、ページをめくると英語訳が記載されているのを見つけた。筆者はPascal Anquetilなる人物。

ライナーノーツは、We have missed Michel for over 10 years now.(ミシェルがいなくなってもう10年以上)。と始まる。さらに、こう続く。we are happy to be reunited with him again much as he used to be in this unrehearsed duet with NHØP.(NHØPとのリハーサルなしのデュエットのときと同じように、再び彼と再会できてとても幸せだ)。筆者は、このライブを体感し、さらにアルバムを聴いて感銘したということなのだろう。「リハーサルなし」という情報が信頼できるかどうか。ペデルセンも2005年4月に他界してしまったので、謎のまま。しかし、ジャケットの写真を見ると、譜面なしでの演奏は事実だろう。

Disc 1
1. All The Things You Are
2. I Can't Get Started
3. Oleo
4. All Blues
5. Beautiful Love
6. Someday My Prince Will Come
7. Billie's Bounce
8. Autumn Leaves

Disc 2
1. St. Thomas
2. These Foolish Things
3. Stella By Starlight
4. Blues In The Closet
5. 'Round Midnight
6. Future Child
7. My Funny Valentine

Michel Petrucciani - piano
Niels-Henning Ørsted Pedersen - bass

Recorded on April 18, 1994 at Copenhagen Jazzhouse, Denmark.

Miles Davis / 文藝別冊『マイルス・デイビス』総特集 没後10年

2013年9月1日付けの自分のブログで以下のように書いた。

2001年9月30日発行 河出書房新社 定価1200円。247ページの読み応えある書籍。中でも次の2つの討論が面白い。
・後藤雅洋、中山康樹、村井康司が選ぶ決定版マイルス・ベスト10
・石川忠司、松村正人、酒井隆史が選ぶブラック派マイルス・ベスト5

ベスト10
Relaxin'
Four & More
Sorcerer (Nefertiti)
On The Corner
In A Silent Way
Bitches Brew
At Fillmore
Get Up With It
Agharta (Pangaea)
The Man With The Horn

ベスト5
1969 Miles
On The Corner
Get Up With It
Dark Magus
Doo-Bop

ベスト10に至る過程で、"Dark Magus"と"Doo-Bop"は候補に残ったものの、残念ながら外すことになった。ところが、"1969 Miles"はほとんど素通り。一方、ベスト5を選ぶ過程では、このアルバムがすんなり選ばれている。その理由が分からなかったし、そもそも、"1969 Miles"を所有していないので、早速注文。どんなアルバムなのか楽しみである。ちなみに、この文藝別冊は絶版になっている模様。もう没後22年だからか…。

Miles Davis / マイルス・デイビス自叙伝②

JICC出版局 クインシー・トループ著 中山康樹訳 1990年5月26日発行 1,200円

この本を通じて、全てを告白したマイルス。それは、自分の死を感じていたからなのだろうか。ジャズ、麻薬、セックス、そして人種差別。マイルスは、この『自叙伝①と②』で隠すことなく語った。マイルスを知れば知るほど、その音楽の重みを感じる。それに反比例して、ジャズはどんどん軽くなってしまい、居酒屋のBGMに流れるほどだ。日本の演歌・艶歌の衰退と比例しているとも言えるのだが。