キースの前作Death And The Flower(邦題『生と死の幻想』)と、同じメンバーで同日に録音されたアルバム。しかし、評価は全く異なった。前作はスイングジャーナルでゴールド・ディスク賞を受賞。本作は蚊帳の外に追い出された。CDのライナーノーツでは、杉田宏樹氏がキースのいくつかのベストアルバムに、このアルバムからの曲がほとんど取り上げられなかったことを長々と書いている。そんなことは、素人でもデータを調べれば簡単にできる。大事なことは、前作が大いに評価され、本作が評価対象にすらならなかったことだ。
自分の分析は、ジャケットにあったと言いたい。前作には多額の費用をつけたが、もう予算が残っていなかった。気合を入れて2日間スタジオに入り込み、充実した演奏をしたつもりなのに、2枚のアルバムに分けられ勝手な評価をされたのである。芸術をビジネスにつなげるのは難しい。バックハンドで決めようとしたら空振りだった。確かに、キースの得意のうなり声はこのアルバムからほとんど聴こえてこない。
1. Inflight
2. Kuum
3. Vapallia
4. Backhand
Keith Jarrett - piano, flute, percussion
Dewey Redman - tenor saxophone, musette, percussion
Charlie Haden - bass
Paul Motian - drums, percussion
Guilherme Franco - percussion
Recorded on October 9 & 10, 1974 at Generation Sound Studios, NYC.