小山彰太作の1曲目「円周率」は、3.14159…に音符を割り当てたと容易に想像できた。本作Vol.1はライナーノーツがなかったが、Vol.2には山下洋輔自身による解説があった。「パイの数列3.14159…を40桁まで音程に移し換えた手法。1=C, 2=D, 8=オクターブC, 9=オクターブDとなる。黒鍵が出てこないことになるが、かえってシンプルだが印象的なメロディーが発見されている」。
しかし、これはちょっと怪しい。40桁は「3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 41971」であり、32桁目に0が出てくるのである。0がBか、それともオクターブEなのかの説明がない。テーマを何度か追いかけてみたところ、0の箇所でブレイク。「0=無」だったのである。そして、無限と続く数字に対して、寿限無を思いついた。いや、寿限無という題材が先に浮かび、円周率へ辿り着いたのかもしれない。寿限無を聴くと、明らかにテーマが以下のようになっている。
じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ
かいじゃりすいぎょの すいぎょうまつ
うんらいまつ ふうらいまつ
くうねるところにすむところ
やぶらこうじのぶらこうじ
ぱいぽ ぱいぽ ぱいぽのしゅーりんがん
しゅーりんがんのぐーりんだい
ぐーりんだいのぽんぽこぴーの
ぽんぽこなーの
ちょうきゅうめいのちょうすけ
1. 円周率
2. Duo Dance
3. So, What's New
4. One For T
5. Chattering
6. K's Lullaby
7. Nimfa Star
8. 寿限無
武田和命 - tenor saxophone
山下洋輔 - piano
小山彰太 - drums
国仲勝男 - bass
録音 1981年2月17 & 18日 / 東京・日本電子工学院スタジオ