坂田明 / ひまわり

2025年11月7日、坂田明が第82回中国文化賞を受賞した。この「中国文化章」とは、中国新聞社が設けた文化の向上に大きく貢献した中国地方ゆかりの個人、団体に対し、賞を贈ることで業績をたたえ、広く社会に公表することを趣意とした賞。11月8日付け中国新聞に受賞記事が掲載され、その切り抜きがネットに流れた。その記事の中で、坂田の発表アルバムの中から「今聴いて欲しい10枚」を自身が選んでいる。10枚中4枚は所有していたが、未所有の「ひまわり」、最新作の「In a Sentimental Mood」を購入。

このアルバムには、プロデューサーである鎌田實氏(JCF/日本チェルノブイリ連帯基金、医師)の自筆による紹介文が同梱されている。以下に全文を記載。

坂田明さんと昨秋、チェルノブイリを旅した。甲状腺がんや小児白血病と闘っている放射能の汚染地へ今まで約6億円のお薬と80回の医師団を送ってきました。……音楽も届けてあげたかった。坂田明のサックスが、汚染大地の病院にひびいた。「ひまわり」がすごかった。いつになく静かに、時にはうなるように、沈黙の大地を汚したことを怒り、そして静かに祈った。このテイストのアルバムをつくろうと思った。NPOでレーベル「がんばらない」をつくった。京都ブランドの信三郎帆布の一澤信三郎さんがバックをつくりながら応援してくれた。感謝。

優しいとか癒しとかオレはダメと言っていた坂田さんが重い腰をあげてくれました。今、毎月、イラクの四つの小児病院に薬をとどけています。戦争や放射能汚染に傷ついた子どもたちの命を支え環境や平和を守る活動をしているJCF(日本チェルノブイリ連帯基金)やJIM-NET(日本・イラク・メディカルネットワーク)を通して、すべての利益は子どもたちのいのちを支えるために使われます。友だちにCDをもう一枚プレゼントを、口コミやインターネットで感想をつたえてください。お力ぞえを待っています。「がんばらなくていいよ」が口グセの田舎医者ですが、今回は、あきらめないで、いいCDがプロデュースできたと思います。ホッとしています。信州にて。(2006春 鎌田實)

1. ひまわり
2. 見上げてごらん夜の星を
3. ウェディング・マーチ
4. 遠くへ行きたい
5. 死んだ男の残したものは
6. 早春賦
7. 水母
8 [おまけ]. G線上のアリア

坂田明 - alto saxophone, soprano saxophone, clarinet
フェビアン・レザ・パネ - piano
吉野弘志 - bass
ヤヒロトモヒロ- percussion (except track 8)

Recorded on February 7 & 8, 2006.

CD帯には、「このCDの収益金はチェルノブイリとイラクのこどもたちの医療支援に使われます。」とある。

秋吉敏子 / Remembering Bud - Cleopatra's Dream

「Kindle Unlimited 読み放題」で購入した雑誌『ジャズ批評』2024年5月号。その特集は、「ルディ・ヴァン・ゲルダー生誕100周年」。サブタイトルは「伝説のエンジニアが追及した"ジャズの音"とは!?」となっている。自分自身は、いわゆるRVGサウンドに拘りを持っていないが、どんなアルバムが取り上げられているかと読んでみた。そこでは、本作を次のように紹介している。

「秋吉敏子が最も敬愛するピアニスト、バド・パウエルのオマージュ作品。レイ・ドラモンドやルイス・ナッシュといった90年代バップ・リバイバルの先頭を走っていたプレイヤーたちと共演している。もっと立体的な音にも出来たのだと思うが、50年代かそれ以前の雰囲気を出すために、中央に集中した音作りをしているのかもしれない。秋吉が縦横無尽に繰り出すビバップのインディオムは聴いて実に爽快。」

この「縦横無尽」という言葉に惹かれて本作を購入。確かに実に爽快。そして、ジャケット裏面には、1964年にニューヨークで撮影した秋吉とパウエルのツーショット。アルバムとしては、憎い演出である。残念なのは、本作を録音するに至った経緯など、秋吉のコメントが載っていないこと。

1. Cleopatra's Dream
2. Remembering Bud
3. Un Poco Loco
4. Oblivion
5. Celia
6. I'll Keep Loving You
7. Parisian Thoroughfare
8. Budo
9. Tempus Fugit
10. Dance Of The Infidels

Toshiko Akiyoshi - piano
George Mraz - bass (tracks 2-8)
Ray Drummond - bass (tracks 1,9,10)
Lewis Nash - drums (tracks 1,3,6-10)
Al Harewood - drums (tracks 2,4,5)

Recorded on 31 July 1990 and 1 August 1990 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

吉田拓郎 / 今はまだ人生を語らず

このCDを手に入れることは、もう諦めていた。「ペニーレインでバーボン」の中の言葉。「つんぼ桟敷」によって生産中止となったためだ。昔から所有している2枚組LPのベストアルバム「よしだたくろう 1971-1975」には、原曲のままの「ペニーレインでバーボン」が入っているので、LPのノイズ交じりで我慢していた。

しかし、2022年12月21日。CDは約30年振りに復刻となった。なぜに、レコード会社はこの長い間封印してきたのか。そして、この時期になぜに開封したのか。その真意は明らかにされず、拓郎ファンは「つんぼ桟敷」に置かれてしまっている。また、拓郎自身のコメントも伝わって来ない。今はまだ人生を語らずということなのだろうか。

1. ペニーレインでバーボン
2. 人生を語らず
3. 世捨人唄
4. おはよう
5. シンシア
6. 三軒目の店ごと
7. 襟裳岬
8. 知識
9. 暮らし
10. 戻ってきた恋人
11. 僕の唄はサヨナラだけ
12. 贈り物

吉田拓郎 – vocal, acoustic guitar, electric bass, acoustic piano, electric guitar, blues harp
かまやつひろし – vocal (track 5)
松任谷正隆 - acoustic piano, hammond organ, electric piano, strings ensemble
石川鷹彦 - electric guitar
常富喜雄 - electric guitar, chorus, flat mandolin
矢島健 - electric guitar, chorus
村岡建 – tenor saxophone
平野肇 - drums, electric bass
村上秀一 - drums
内山修 - drums
後藤次利, 石山恵三 - electric bass
陣山俊一, 前田仁 - chorus
瀬尾一 - string part arrangement

発売 1974年12月10日