秋吉敏子 / Remembering Bud - Cleopatra's Dream

「Kindle Unlimited 読み放題」で購入した雑誌『ジャズ批評』2024年5月号。その特集は、「ルディ・ヴァン・ゲルダー生誕100周年」。サブタイトルは「伝説のエンジニアが追及した"ジャズの音"とは!?」となっている。自分自身は、いわゆるRVGサウンドに拘りを持っていないが、どんなアルバムが取り上げられているかと読んでみた。そこでは、本作を次のように紹介している。

「秋吉敏子が最も敬愛するピアニスト、バド・パウエルのオマージュ作品。レイ・ドラモンドやルイス・ナッシュといった90年代バップ・リバイバルの先頭を走っていたプレイヤーたちと共演している。もっと立体的な音にも出来たのだと思うが、50年代かそれ以前の雰囲気を出すために、中央に集中した音作りをしているのかもしれない。秋吉が縦横無尽に繰り出すビバップのインディオムは聴いて実に爽快。」

この「縦横無尽」という言葉に惹かれて本作を購入。確かに実に爽快。そして、ジャケット裏面には、1964年にニューヨークで撮影した秋吉とパウエルのツーショット。アルバムとしては、憎い演出である。残念なのは、本作を録音するに至った経緯など、秋吉のコメントが載っていないこと。

1. Cleopatra's Dream
2. Remembering Bud
3. Un Poco Loco
4. Oblivion
5. Celia
6. I'll Keep Loving You
7. Parisian Thoroughfare
8. Budo
9. Tempus Fugit
10. Dance Of The Infidels

Toshiko Akiyoshi - piano
George Mraz - bass (tracks 2-8)
Ray Drummond - bass (tracks 1,9,10)
Lewis Nash - drums (tracks 1,3,6-10)
Al Harewood - drums (tracks 2,4,5)

Recorded on 31 July 1990 and 1 August 1990 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

吉田拓郎 / 今はまだ人生を語らず

このCDを手に入れることは、もう諦めていた。「ペニーレインでバーボン」の中の言葉。「つんぼ桟敷」によって生産中止となったためだ。昔から所有している2枚組LPのベストアルバム「よしだたくろう 1971-1975」には、原曲のままの「ペニーレインでバーボン」が入っているので、LPのノイズ交じりで我慢していた。

しかし、2022年12月21日。CDは約30年振りに復刻となった。なぜに、レコード会社はこの長い間封印してきたのか。そして、この時期になぜに開封したのか。その真意は明らかにされず、拓郎ファンは「つんぼ桟敷」に置かれてしまっている。また、拓郎自身のコメントも伝わって来ない。今はまだ人生を語らずということなのだろうか。

1. ペニーレインでバーボン
2. 人生を語らず
3. 世捨人唄
4. おはよう
5. シンシア
6. 三軒目の店ごと
7. 襟裳岬
8. 知識
9. 暮らし
10. 戻ってきた恋人
11. 僕の唄はサヨナラだけ
12. 贈り物

吉田拓郎 – vocal, acoustic guitar, electric bass, acoustic piano, electric guitar, blues harp
かまやつひろし – vocal (track 5)
松任谷正隆 - acoustic piano, hammond organ, electric piano, strings ensemble
石川鷹彦 - electric guitar
常富喜雄 - electric guitar, chorus, flat mandolin
矢島健 - electric guitar, chorus
村岡建 – tenor saxophone
平野肇 - drums, electric bass
村上秀一 - drums
内山修 - drums
後藤次利, 石山恵三 - electric bass
陣山俊一, 前田仁 - chorus
瀬尾一 - string part arrangement

発売 1974年12月10日

日野元彦 / Flying Clouds

商品解説から抜粋。〈根室における名盤『流氷』のステージから3ヶ月後の1976年5月27日、録音メンバーに今村祐司(パーカッション)を加えたセクステット編成で出演した「5 Days in Jazz 1976」の記録。タイトルナンバーは日野元彦が書き下ろした未発表曲。半世紀のあいだ眠りについていた2インチテープからマスター音源を制作したもの〉。

この解説に釣られて購入。アルバム『流氷』に迫る、もしくは超える演奏を期待したのだが…。前作〈流氷〉は、2月の根室だったからこそ熱くなったのだろう。5月の東京では、〈流氷〉をイメージする演奏は難しいはずだ。そんな感じで安易に捉えた。だが、何度も聴き返すと、パーカッションがうるさ過ぎることが分かった。日野元彦が、ジェット・ラグで体調が優れなかったことから、今村祐司が急遽参加したとのこと。聴き手側ではなく、演奏側のロジックによるライブだったのである。そして、井野信義がエレキベースを弾いていることも、雰囲気を台無しにしている。

30年ほど前に日野元彦から直接もらった彼のドラムスティックが、我が家の宝物。「つまらない音源を世に出したな」と、スティックがつぶやいたように聞こえた。

1. 流氷
2. Olive's Step
3. Flying Clouds

山口真文 - tenor saxophone
清水靖晃 - tenor saxophone
渡辺香津美 - guitar
井野信義 - bass
日野元彦 - drums
今村祐司 - percussion

Recorded on May 27, 1976 at Yamaha Hall, Tokyo.