果たして、山下トリオはニューヨークで受け入れられたのか?このアルバムを聴く限りでは、ブーイングもなければ、熱狂的な拍手もなかったように思える。「こんな演奏をピアノ、ドラム、サックスのトリオでするなんて凄いぞ!でも、何の曲なんだ?」というのが、ライブを聴きに来た人の感想だったのではないだろうか。日本人なら、「うさぎのダンス」や「砂山」をモチーフにした構成ということで、ヤマト魂ならぬヤマシタ魂を素直に感じるのだが。
ヨーロッパで絶賛された山下トリオは、アメリカ・ニューヨークでも通じるのかという問いに答える企画であったと思うが、結果は不戦敗。いや、不戦勝であったかもしれない。つまり、彼らが戦う土俵、もしくは四角いリングが用意されていなかったということだ。ニューヨークにおいては、時代を先取りし過ぎたのかも知れない。調べた資料によると、このライブ録音の後、スタジオ録音は多数あるものの10年近くはニューヨークでライブ活動はしていない。ダンスを踊ったウサギは月に帰るしかなかったのか。
1. Introduction - Rabbit Dance (Usagi no Dance)
2. Mina's Second Theme
3. Sunayama
Yosuke Yamashita / 山下洋輔 - piano
Akira Sakata / 坂田明 - alto saxophone, alto clarinet
Shota Koyama / 小山彰太 - drums
Recorded on June 29, 1979 at JAZZ AT THE SYMPHONY, held as part of Newport Jazz Festival, NYC.