高田渡 / ごあいさつ

このアルバムがリリースされたのは、1971年6月。1949年1月生まれの渡であるから、この時、まだ22歳。大阪万博の翌年。高度経済成長第二期の真っただ中である。「ケーザイ」という軸とは、まったく違う軸で唄を歌い続けてきた渡。それは決して、高田渡と言う「私的」ではなく、渡が見ていた庶民の生活を唄に写してきたこと。

当時、このアルバムのコーヒーブルースを聴いて三条の「イノダ」へ行かなくちゃ、と思った。そして、ワタル的な「生活の柄」。どの曲も唄い放されて終わる。唄い終わるのではなく、唄い放つ。聴き手は、放された言葉を掴み取って、自分の中に溜めざるを得ない。溜めた瞬間、渡とつながってしまう。

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生活の柄(作詞:山之口貘 作曲:高田渡)

歩き疲れては 夜空と陸との 隙間にもぐりこんで
草に埋れては 寝たのです 処かまわず寝たのです

1. ごあいさつ
2. 失業手当
3. 年齢・歯車
4. 鮪に鰯
5. 結婚
6. アイスクリーム
7. 自転車にのって
8. ブルース
9. おなじみの短い手紙
10. 珈琲不演唱(コーヒーブルース)
11. 値上げ(変化)
12. 夕焼け
13. 銭がなけりゃ
14. 日曜日
15. しらみの旅
16. 生活の柄

高田渡 - guitar (tracks 1,3-6,8-12,14,16), flat mandolin (tracks 2,7)

はっぴいえんど (tracks 2,7,13,15)
大滝詠一 - guitar, chorus
鈴木茂 - guitar, chorus
細野晴臣 - bass, piano, chorus
松本隆 - drums, chorus

池田光夫 - bandoneon (tracks 4,9,14)
石田順二 - fiddle (tracks 13,16)
中川イサト - guitar (tracks 13,15)
木田高介 - piano (track 5)
岩井宏 - banjo (tracks 13,16), chorus (tracks 7,13,16)
加川良 - chorus (tracks 7,13,16)
遠藤賢司 - chorus (track 13)

発売 1971年6月1日

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