吉田拓郎 / 今はまだ人生を語らず

このCDを手に入れることは、もう諦めていた。「ペニーレインでバーボン」の中の言葉。「つんぼ桟敷」によって生産中止となったためだ。昔から所有している2枚組LPのベストアルバム「よしだたくろう 1971-1975」には、原曲のままの「ペニーレインでバーボン」が入っているので、LPのノイズ交じりで我慢していた。

しかし、2022年12月21日。CDは約30年振りに復刻となった。なぜに、レコード会社はこの長い間封印してきたのか。そして、この時期になぜに開封したのか。その真意は明らかにされず、拓郎ファンは「つんぼ桟敷」に置かれてしまっている。また、拓郎自身のコメントも伝わって来ない。今はまだ人生を語らずということなのだろうか。

1. ペニーレインでバーボン
2. 人生を語らず
3. 世捨人唄
4. おはよう
5. シンシア
6. 三軒目の店ごと
7. 襟裳岬
8. 知識
9. 暮らし
10. 戻ってきた恋人
11. 僕の唄はサヨナラだけ
12. 贈り物

吉田拓郎 – vocal, acoustic guitar, electric bass, acoustic piano, electric guitar, blues harp
かまやつひろし – vocal (track 5)
松任谷正隆 - acoustic piano, hammond organ, electric piano, strings ensemble
石川鷹彦 - electric guitar
常富喜雄 - electric guitar, chorus, flat mandolin
矢島健 - electric guitar, chorus
村岡建 – tenor saxophone
平野肇 - drums, electric bass
村上秀一 - drums
内山修 - drums
後藤次利, 石山恵三 - electric bass
陣山俊一, 前田仁 - chorus
瀬尾一 - string part arrangement

発売 1974年12月10日

吉田拓郎 / ah-面白かった

今日、6月28日入荷。所有する拓郎のアルバム数としては47枚目。2019年のコンサートツアーは、Live 73 Yearsと拓郎自身の年齢を記した。同梱された小冊子には、拓郎による全演奏曲の解説がある。「わたしの足音2019」では、「僕のラストとなるかも知れないライブ」と書いている。ツアータイトルに自分の年齢を入れた理由は、ここにあった。

そして、それから3年。自ら最終アルバムと宣言したアルバムを「面白かった」と過去形にして仕上げた。全曲、拓郎の作品。タイトル曲「ah-面白かった」には「いつも履いている シューズを脱ぎ捨て 何も言わずに部屋へ逃げる」と。自分が中学時代から追いかけて来た拓郎。仕方ない。時が刻まれていくことには誰も逆らえない。こちらも「面白かったぜ」と返信するしかないのだ。

CD
1. ショルダーバッグの秘密
2. 君のdestination
3. Contrast
4. アウトロ
5. ひとりgo to
6. 雨の中で歌った
7. 雪さよなら
8. Together
9. ah-面白かった

DVD
1. 「ah-面白かった」制作メイキング映像
2. 吉田拓郎インタビュー

Bob Dylan / Rough And Rowdy Ways

2020年3月、日本ではディランのツアーが予定されていたが、コロナ禍で中止。日本以外でのコンサートも全て中止になったはずだ。そして、それを償うように同年6月に本作がリリースされ、ライナーノーツには、ディランから次のメッセージが掲載された。

「私のファンと熱心なフォロワーの方々へ、長年のご支援とご献身に感謝を込めて挨拶致します。この度公開するのは以前録音した歌で皆さんに興味を持って頂ける未発表です。どうぞ安全に過ごされますように、油断する事がありませんように、そして神があなたと共にありますように」。

2枚組全10曲で、全体的に死の匂いが漂うアルバム。全ての歌詞を読み込んでいくと、ハイフンが数多く使われていることがわかる。これまでにない一つの特徴。ディランはこのハイフンで何を表現しようとしたのか。情景を急展開させるサインだろうか。例えば、2曲目はFalse Prophet(偽りの預言者)には、21か所ものハイフン。

Disc 2はMurder Most Foul(最も卑劣な殺人)の1曲のみ。これまでの収録曲の中で、最も長尺の16分54秒。叙事詩と言った方が良いだろう。単語は1408を数える。『1963年11月、ダラスでの忌まわしい日/とんでもなくひどいことが起こった日として永遠に語り継がれる』と物語は始まる。

やがて、ディスクジョッキーのウルフマン・ジャックが登場。ディランはジャックに数々のミュージシャンの曲をリクエストする。ジャズの世界で言えば、オスカー・ピーターソン、スタン・ゲッツ、アート・ペッパー、セロニアス・モンク、チャーリー・パーカー、ナット・キング・コール。そして、こう締め括る。『偉大なるバド・パウエルの「ラブ・ミー・オア・リーブ・ミー」をかけてくれ/「血まみれの旗」をかけてくれ、「最も卑劣な殺人」をかけてくれ』。ディランは、ケネディ大統領暗殺から57年を経ても、卑劣な殺人が世界中で起きていると警鐘を鳴らしている。それは、2022年になった今でも同じなのだ。

ちなみに、バド・パウエルは一度も「ラブ・ミー・オア・リーブ・ミー」を録音していない。ディランはそれを知っていたのだろうか。ディランがこのブログを見るとは到底思えないが、一応書いておこう。Bud Powell has never recorded "Love Me or Leave Me".

Disc 1
1. I Contain Multitudes
2. False Prophet
3. My Own Version Of You
4. I've Made Up My Mind To Give Myself To You
5. Black Rider
6. Goodbye Jimmy Reed
7. Mother Of Muses
8. Crossing The Rubicon
9. Key West (Philosopher Pirate)

Disc 2
1. Murder Most Foul

Bob Dylan - vocals, guitar, harmonica
Charlie Sexton - guitar
Bob Britt - guitar
Donnie Herron - steel guitar, violin, accordion, mandolin
Tony Garnier - bass guitar, acoustic bass
Matt Chamberlain - drums

Recorded in January and February 2020, Sound City Studios in Van Nuys, California.
Released on June 19, 2020.