マル・ウォルドロンのリーダーアルバムではあるが、全体の雰囲気は、エリック・ドルフィーとロン・カーターが支配している。マルはそんなことを気にせず、全曲がマル自身の作品で、自分の目指したジャズをここでは追求した。「リズム」や「緊張感」などではなく、「揺らぎ」という新たな軸を設定しようとしたのではないだろうか。
questとは「探究」。それにTheを付けたことで「ザ・探究」なのだが、それでは邦題にならないので、「ここに探究あり」としたい。で、何を探究しようとしたのかが大事。それは、参加したメンバーの「心の揺らぎ」だった。「緊張感」はどちらかと言うと垂直方向、そして「揺らぎ」は水平方向である。この水平感覚を掴んだ瞬間、ジャズの深みにはまってしまうのだ。ラスト曲Fire Waltzは、ドルフィーのアルバムAt The Five Spot Vol.1で有名。ライブ録音は本作から3週間後の7月16日なので、探求の結果がそこに示されている。
1. Status Seeking
2. Duquility
3. Thirteen
4. We Diddit
5. Warm Canto
6. Warp And Woof
7. Fire Waltz
Eric Dolphy - alto saxophone, clarinet
Booker Ervin - tenor saxophone (tracks 1-4,6,7)
Mal Waldron - piano
Ron Carter - cello
Joe Benjamin - bass
Charlie Persip - drums
Recorded on June 27, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.