シモスコ&テッパーマン著(間 章訳)『エリック・ドルフィー』では、本作について次のように書いている。「ドルフィーは彼自身が書いたそのレコードのライナーノーツで、彼が感じた自由なコンセプトのもとに、ユニットの中をテーマの展開においても、また複雑なリズム・パターンによっても、自由な拍子で、自在な方向へ、動かすことができたという、曲とグループの演奏の全体のフィーリングについて語っている。このレコーディング・セッションは、その複雑なコンセプトにもかかわらず、サウンドは実に自然に響いているし、より拡大された抽象性と、のびやかさが彼のソロ演奏につけ加わっていて、美学的なインパクトも極めて満足のゆくものであった」。
所有するLPとCDには、ドルフィー自身による収録曲の紹介文はあるが、セッションについては語っていない。従って、上記のライナーノーツの出典は不明なのだが、「拡大された抽象性」とは見事な表現である。それは、ジャケットにも表れていて、WILL BE BACKの時刻は何も確約されていないのだ。
1. Hat And Beard
2. Something Sweet, Something Tender
3. Gazzelloni
4. Out To Lunch
5. Straight Up And Down
Eric Dolphy - alto saxophone (tracks 1,4,5), bass clarinet (track 2), flute (track 3)
Freddie Hubbard - trumpet
Bobby Hutcherson - vibraphone
Richard Davis - bass
Tony Williams - drums
Recorded on February 25, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.