Mal Waldron / Left Alone

LPのライナーノーツ(佐藤秀樹氏の解説)に「マルがレフト・アローンを作曲したのは、59年の春と言われている。そして、生前、ビリーの愛唱歌のひとつであったこの曲をアルバムタイトルに持つLPが、彼女の死後間もなく吹き込まれたのは当然と言ってよいだろう」とある。ここに大きな間違いが2つ。録音は1959年2月24日であり、ビリーが亡くなったのは59年7月17日。さらに、ビリーのディスコグラフィーに彼女が歌ったレフト・アローンは残されていない。

アルバムには、ヴァイブ奏者テディ・チャールズによる、マルへのインタビューが記録されている。「ビリーが死んですぐに、アルバムを出すのは流行にのっかるようで恐かったけど、時間が経ったので彼女に捧げるアルバムを作る時だと感じたんだ」と語っている。インタビューの日付は残っていないが、たぶん60年の半ばなのだろう(アルバムのリリースは60年)。「ビリーに捧げられたマルの決定的な名盤!」と言われているが、レフト・アローンの録音がすでにあったので制作できた追悼アルバム。にもかかわらず、名盤的な扱いがされ、マルは、このアルバムを背負っていくことになった。

追記:中山康樹著『ジャズの名盤入門(講談社現代新書)』には、本作について以下のように解説している。

「1960年4月(日にちは不明)、マルはビリーと共作したものの一度も録音されることのなかった〈レフト・アローン〉をマクリーンとの共演という形で吹き込み、それをビリーへの追悼とする。このアルバムにマクリーンが加わった演奏が1曲しか収録されていない理由は、そこにある」。

1. Left Alone
2. Cat Walk
3. You Don't Know What Love Is
4. Minor Pulsation
5. Airegin
6. Mal Waldron Interview: The Way He Remembers Billy Holiday

Mal Waldron - piano
Jackie McLean - alto saxophone (track 1)
Julian Euell - bass
Al Dreares - drums

Recorded on February 24, 1959 in NYC.

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