植草甚一 / ぼくたちにはミンガスが必要なんだ

1976年11月発行 晶文社。植草氏は小柄であったことを初めて知った。この本には、いくつかの写真が挿入されていて、最後の写真はミンガスとのツーショット。もちろんミンガスのほうが一回りも二回りも大きいとは思っていたが、それ以上の差があったようだ。

この本は、図書館で借りて読んだのか、古本を購入して読んだのか定かではない。タイトルはミンガスになっているけれど、モンクとドルフィー、そしてミンガスの3部構成。なので、参考書として改めて購入した。2005年1月30日新装版第一刷となる。読み直す前から想定していたが、新たな驚きはほとんどなかった。その理由は簡単で、植草氏の文章を読んで、モンク、ドルフィー、ミンガスを好きなった訳ではないから。

彼らにのめり込んで行ったら、この本を通じ植草氏も好きだったということを知ったのだ。その頃、ジャズは「研究」の対象だった。過去の歴史を調べていくと新たな発見があり、聴き方が変わった。今は、娯楽の一つでしかないのかも知れない。結局のところ、ジャズ喫茶は探求の場ではなくなってしまい、衰退したのだと言える。自宅の小さいスピーカーと小音量で聴くジャズでは、見えないことが多数あるのだが…。

今必要なのは、植草氏の復刊ではない。現在のジャズを描き切れるライターの存在。中野宏昭氏の志を継ぐライターの登場を。『ぼくたちには今のジャズが必要なんだ』。

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