西岡恭蔵 / ディランにて

「林敏明、角谷安彦の明確にビートを刻み続けるリズムセクションをバックに配して自分自身のギターをかき鳴らしながら唄う姿は、まるで荒野を渡っていく風のように力強い。デビュー作にありがちな余分な気負いも無く、実にシンプルでストレートなアルバムに仕上がっている。これほどまでに〈唄の力〉を全面的に出す事が出来たのは、稀代のソング・ライター西岡恭蔵だからなし得た事だ」(小川真一氏のライナーノーツから抜粋)。

ボブ・ディランの作品All Along The Watchtowerに青木洋子による歌詞を付けた「丘の上の英雄さん」以外は、全て西岡恭蔵の作詞作曲。かつて、ボロボロになっても所有していたLPを、「プカプカ」が聴きたくなるとターンテーブルに乗せていた。1999年4月3日。50歳で自分の身を絶った恭蔵。

1. サーカスにはピエロが
2. 下町のディラン
3. 谷間を下って
4. 君住む街に
5. 風を待つ船
6. 丘の上の英雄さん
7. 君の窓から
8. 僕の女王様
9. プカプカ
10. 街の君
11. 終りの来る前に
12. サーカスの終り

西岡恭蔵 - vocal, guitar
角谷安彦 - bass
林敏明 - drums
吉野金次 - piano

録音 1972年3月4, 5 & 6日 東京・モウリスタジオ(発売 72年7月25日)

森山威男 / 山

このアルバム『山』の前編である『森』と同様に、ライナーノーツで森山自身が父親のことを書いている。『山のように威厳のあった父のこと。〈中略〉高校生のとき、父は俺を歯医者にしたかったらしい。父にお願いをした。「俺、ドラムをやりたいんだ。東京に習いに行かせてくれ」「本当にそうしたいなら、やりなさい。心配するな」と言ってくれた。死ぬ気でがんばろう、と思った。〈中略〉ドラマーになっても父は俺をだめな息子だと思っていたらしい。初めて俺の演奏を聞いた後、言った。「そんなに汗をかいて、命っきり叩かんと生活できんのか」大笑いした。〈中略〉入院中の父の耳元で「赤とんぼ」を歌ってあげた。じっとしていた。山のように。』

前編『森』は重量感、後編『山』は高揚感。『森』と『山』で、森山威男は一つの頂点に登り詰めた。

1. A Fox In The Woods
2. Sound River
3. Hey, Open Up!
4. Tribute To Trane
5. Sunrise

音川英二 - soprano saxophone, tenora saxophone
George Garzone - soprano saxophone, tenora saxophone
田中信正 - piano
望月英明 - bass
森山威男 - drums

Recorded on March 9 & 10, 2002 at studio F, Tajimi-shi, Gifu.

森山威男 / 森

ライナーノーツで、森山自身が父親のことを書いている。『森のように静かだった父のこと。〈中略〉高校生のとき、親をだまして金をせしめ、パチンコをした。玉をはじいている俺の後ろから「この台は出るか」と声がした。片手に玉を持った父が隣の台に座った。二度と親をだますまいと思った。〈中略〉70歳を過ぎたとき、父が言った。「俺は歯医者には向いていないような気がする」「いまさら」と思った。〈中略〉80歳を過ぎたとき、無口な父が力強く言った。「威男!今からでも遅くはない。頑張れば二人で立派な狸になれる」分からん。入院中の父の耳元で「赤とんぼ」を歌ってあげた。静かだった。森のように。』

このアルバム『森』と続編アルバム『山』は、同じメンバーでの同日録音。『森』は重量感のある奥深い印象を与える。スイングジャーナル選定ゴールド・ディスク。いや、それ以上に存在感のアルバムである。

1. The Immigrant
2. Gratitude
3. In A Sentimental Mood
4. The House Of The Rising Sun
5. Hole In The World

音川英二 - soprano saxophone, tenor saxophone
George Garzone - soprano saxophone, tenor saxophone
田中信正 - piano
望月英明 - bass
森山威男 - drums

Recorded on March 9 & 10, 2002 at studio F, Tajimi-shi, Gifu.