肉体的ハンディーを背負ったミシェル・ペトルチアーニを「ピアノの化身」と、日本のジャズ・ジャーナリズムはレッテルを貼った。その言葉が彼の耳の届いたかどうかは知らない。よくよく考えてみると、差別的な意味合いがないとは言えない。ジャズピアノの演奏スタイルに新たな革新をもたらした功績があったとは言えないが、1980年代の初めに新風を巻き起こしたことは事実だ。残念ながら、当時はリアルタイムで彼の新譜レコードを買う余裕はなかったし、ジャズ喫茶へ通う時間も無かった。
本アルバムを録音した時、ペトルチアーニは弱冠18歳。ハンディを背負った彼だけに、「天才」と軽く言えるはずがない。相当な努力をして、ピアノという楽器を自分のものにしたはずだ。そして、1999年1月に36歳の生涯を閉じた。ジャズピアニストとしての彼の初リーダーアルバム。ここから終着駅まで駆け抜けた。20年足らずのジャズマンの生き様を、このアルバムから感じ取ることができるのだ。
1. Hommage A Enelram Atsenig
2. Days Of Wine And Roses
3. Christmas Dreams
4. Juste Un Moment
5. Gattito
6. Cherokee
Michel Petrucciani - piano
Jean-Francois Jenny-Clark - bass
Aldo Romano - drums
Recorded on April 3 & 4, 1981.