大滝詠一 / A Long Vacation

今日は大滝詠一の命日。2013年12月30日他界(享年65)。はっぴいえんどの頂点は1971年のアルバム『風街ろまん』。時代の「風」を受け、「街」を日本語ロックで表現した最高傑作。大滝が20代前半の作品。それから10年後、本作をリリース。

4曲目のPap-Pi...は大滝の作詞作曲。それ以外は、松本隆(作詞)と大滝(作曲)によるもの。しかし、はっぴいえんど色は、ここには一切ない。10年間の「長期休暇」を終えた大滝のメッセージが詰まっている感じがする。

1. 君は天然色
2. Velvet Motel
3. カナリア諸島にて
4. Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語(ストーリー)
5. 我が心のピンボール
6. 雨のウェンズデイ
7. スピーチ・バルーン
8. 恋するカレン
9. FUN×4
10. さらばシベリア鉄道

発売 1981年3月21日

西岡恭蔵 / ディランにて

「林敏明、角谷安彦の明確にビートを刻み続けるリズムセクションをバックに配して自分自身のギターをかき鳴らしながら唄う姿は、まるで荒野を渡っていく風のように力強い。デビュー作にありがちな余分な気負いも無く、実にシンプルでストレートなアルバムに仕上がっている。これほどまでに〈唄の力〉を全面的に出す事が出来たのは、稀代のソング・ライター西岡恭蔵だからなし得た事だ」(小川真一氏のライナーノーツから抜粋)。

ボブ・ディランの作品All Along The Watchtowerに青木洋子による歌詞を付けた「丘の上の英雄さん」以外は、全て西岡恭蔵の作詞作曲。かつて、ボロボロになっても所有していたLPを、「プカプカ」が聴きたくなるとターンテーブルに乗せていた。1999年4月3日。50歳で自分の身を絶った恭蔵。

1. サーカスにはピエロが
2. 下町のディラン
3. 谷間を下って
4. 君住む街に
5. 風を待つ船
6. 丘の上の英雄さん
7. 君の窓から
8. 僕の女王様
9. プカプカ
10. 街の君
11. 終りの来る前に
12. サーカスの終り

西岡恭蔵 - vocal, guitar
角谷安彦 - bass
林敏明 - drums
吉野金次 - piano

録音 1972年3月4, 5 & 6日 東京・モウリスタジオ(発売 72年7月25日)

森山威男 / 山

このアルバム『山』の前編である『森』と同様に、ライナーノーツで森山自身が父親のことを書いている。『山のように威厳のあった父のこと。〈中略〉高校生のとき、父は俺を歯医者にしたかったらしい。父にお願いをした。「俺、ドラムをやりたいんだ。東京に習いに行かせてくれ」「本当にそうしたいなら、やりなさい。心配するな」と言ってくれた。死ぬ気でがんばろう、と思った。〈中略〉ドラマーになっても父は俺をだめな息子だと思っていたらしい。初めて俺の演奏を聞いた後、言った。「そんなに汗をかいて、命っきり叩かんと生活できんのか」大笑いした。〈中略〉入院中の父の耳元で「赤とんぼ」を歌ってあげた。じっとしていた。山のように。』

前編『森』は重量感、後編『山』は高揚感。『森』と『山』で、森山威男は一つの頂点に登り詰めた。

1. A Fox In The Woods
2. Sound River
3. Hey, Open Up!
4. Tribute To Trane
5. Sunrise

音川英二 - soprano saxophone, tenora saxophone
George Garzone - soprano saxophone, tenora saxophone
田中信正 - piano
望月英明 - bass
森山威男 - drums

Recorded on March 9 & 10, 2002 at studio F, Tajimi-shi, Gifu.