山下洋輔 / Invitation

ピアノソロ・ライブである。ギャラリーを会場としたライブ録音。本アルバムの商品紹介には、「画家、谷川晃一の個展とのコラボレーション」とある。ところが、ジャケット裏面の英文ライナーノーツに、次の一文を発見。by a coincidence, an exhibition was being held there by Japan's pioneer of "art pop" namely KOICHI TANIKAWA.(偶然にも、日本の「アートポップ」のパイオニアである谷川晃一による展覧会が東京で開催されていた)。コラボレーションは間違いではないが、事前に企画されたものではない。

話は変わるが、セシル・テイラーの1981年のピアノソロ・ライブGardenには失望した。テイラーのソロは、演じる側と聴く側に一つの境界が存在する。一方の洋輔のソロは、聴く側を包み込む、ないしは引きずり込む印象を受ける。芸術と演芸の違いとも言えるかも知れない。なお、本作は完成度の高いアルバムなのだが、CD化はされていない。

1. Green Sleeves
2. On The Road
3. Mokujiki - 木喰
4. Let's Cool One
5. I Can't Get Started
6. A Night In Tunisia
7. Prelude To A Kiss

山下洋輔 - piano

録音 1979年2月22日 / 東京・フジテレビ・ギャラリー

山下洋輔 / 砂山

山下トリオでは、これまで「赤とんぼ」入りのゴーストが大きな反響を呼んでいた。そして、積極的に童謡を取り入れたのが、このアルバム。全て中山晋平の曲である。タイトルは「砂山」だが、「きいちのぬりえ」にすべきだったと思う。さて、「あの町この町」はメロディーが明確に聴こえるが、どこが「砂山」で、どこから「うさぎのダンス」なのか?昔、我が家に遊び(飲み)に来た友人に、アルバムタイトルを隠して聴いてもらったが、回答は得られず。

「ソソラ ソラソラ ウサギのダッダー」…と「ダンス」が「ダッダー」になり、「ダッダー」がキーフレーズとして展開されていく。これが洋輔の真骨頂だろう。恐らく、洋輔はシメタ!と思ったに違いない。「ソソラ ソラソラ」は「ダッダー」へ行くための助走。「ダッダー」のフレーズだけで何でもできそうだと…。ズ・ル・イ。

1. 砂山
2. うさぎのダンス
3. あの町この町

山下洋輔 - piano
坂田明 - alto saxophone, alto clarinet
小山彰太 - drums

清水靖晃 - tenor saxophone
岡野等 - trumpet
中沢健次 - trumpet
向井滋春 - trombone
杉本喜代志 - guitar

録音 1978年6月21 & 22日 / 東京・ビクタースタジオ

山下洋輔 / Umbrella Dance

ジャケットはあたかも童話の世界。猫が傘をさして空中散歩。その感覚でレコードに針を落としたら、今ではCDを挿入してプレイボタンを押したら、猫が光速を超えて宇宙空間へ飛び出す勢い。猫踏んじゃった。ではなく、猫飛んじゃった。なのである。

LPでは2曲目のPart IIがIIaとIIbに分断され4曲構成だった。4曲の組曲で起承転結。いや稀少天傑。こんなジャズトリオは他に例がなく稀少で、天も揺るがす傑作を生みだしてきた。CDは分断が解消して3曲構成になり、勢いがさらに加速。猫ぶっ飛んじゃった。

1. Umbrella Dance Part I
2. Umbrella Dance Part II
3. Umbrella Dance Part III

山下洋輔 - piano
坂田明 - alto saxophone
小山彰太 - drums

Recorded on June 16, 1977 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg, West Germany.