正直に言えば、80年代後半から90年代にかけての拓郎を聴くのは辛い。唄うべき焦点が定まらない拓郎。歌詞が軽くて、自分自身が拓郎を聴かなくなった時期と重なる。MUCH BETTERでは、拓郎と共に歩んできたファンにとっては、かなり物足りなかったはずだ。逆に、拓郎にとってみれば、もう好きにさせてくれという心境だったのだろう。泉谷しげるの「眠れない夜」までカバーしてしまった。
ところが、商品説明はこんな感じ。「これはいい。吉田拓郎の80年代を代表するアルバムになりそうだ。彼のボーカルには、以前ほどの力強さ、きき手をねじ伏せる迫力はないが、幾分の脆ささえも歌の説得力を深めている。サラリとした歌いっぷりと、音楽的バラエティとの関係も申し分ない」。だったら、何でMUCH BETTERだったのかの説明が欲しい。
1. 「うの」ひと夏 by 高杉
2. 眠れない夜
3. 気がついたら春は
4. 流れ流され
5. よせばいい
6. MR.K
7. すなおになれば
8. いくつもの夜が
9. 現在の現在(いまのいま)
発売 1988年4月21日