Thelonious Monk / Monk In Tokyo

1963年4月号のスイングジャーナルの特報『セロニアス・モンク四重奏の来日確定か?』は「モンクの来日は、我国の戦後ジャズ界最大のイベントである」と結んでいる。このライブアルバムがその戦後最大なのだが、日本では廃盤状態。戦後は遠くなったのである。数年前、2枚組CDで1,347円という廉価な輸入盤を見つけ購入。63年5月の大手町サンケイホールでの録音が、ケンタッキー州シェファーズビルから届いた。なんとも不思議な感じ。これをグローバル化というのだろうか。

全11曲、十分な音質でモンクを楽しめる。ライナーノーツは児山紀芳氏が担当。輸入盤なので英文。その中でこんな一文を見つけた。As is obvious from the performance of "Hackensack" and "Blue Monk", from the last half of the show, Monk and his quartet were inspired by the audience.(ハッケンサックとブルーモンクのパフォーマンスからも明らかなように、公演後半からモンクと彼のカルテットは観客に触発された)。ということは、本作は当日の演奏順に収録しているようだ。モンクの演奏だけでなく、アルバム制作者にも拍手。

Disc 1
1. Straight, No Chaser
2. Panonica
3. Just A Gigolo
4.Evidence (Justice)
5. Jackie-Ing
6.Bemsha Swing
7.Epistrophy

Disc 2
1.I'm Getting Sentimental Over You
2.Hackensack
3.Blue Monk
4.Epistrophy

Charlie Rouse - tenor saxophone
Thelonious Monk - piano
Butch Warren - bass
Frankie Dunlop - drums

Recorded on May 21, 1963 at Sankei Hall, Tokyo.

Thelonious Monk / Criss-Cross

Criss-Cross(十字模様)を表すジャケット。一方で、この言葉には「食い違い」「矛盾」という意味もある。タイトル曲Criss Crossはモンクの作品。この曲にモンクは、多少なりとも時代の「矛盾」を表現したかったのか? 5回のセッションを1つにまとめたアルバムで、スタンダード曲Tea For Twoと同日にCriss Crossを録音している。スタンダードとの組合せならば、深読みする必要はなさそうだ。

アルバムとしては、実によくまとまっていて、不満となる点はない。しかしながら、モンクだからこそ、その点が不満となってしまう。モンクファンが求めているのは、研ぎ澄まされた緊張感。もう一つのスタンダード曲Don't Blame Meはピアノソロ。この曲がもっとも緊張感に溢れているのは、プロデューサーのテオ・マセロにすると「食い違い」があったような気がする。

1. Hackensack
2. Tea For Two
3. Criss Cross
4. Eronel
5. Rhythm-A-Ning
6. Don't Blame Me
7. Think Of One
8. Crepuscule With Nellie

Charlie Rouse - tenor saxophone (except track 6)
Thelonious Monk - piano
John Ore - bass (except track 6)
Frankie Dunlop - drums (except track 6)

Tracks 1 & 5
Recorded on November 6, 1962 in NYC.

Tracks 2 & 3
Recorded on February 26, 1963 in NYC.

Tracks 4 & 6
Recorded on February 27, 1963 in NYC.

Track 7
Recorded on February 28, 1963 in NYC.

Track 8
Recorded on March 29, 1963 in NYC.

Thelonious Monk / Monk's Dream

アルバムタイトルは1曲目Monk's Dreamを借用しているが、内容的には普段着のモンク。つまり、Casual Monkという感じだ。無理な気負いがなく、コンボで演奏することを心から楽しんでいる。そんなモンクの姿勢にメンバーも肩の力が抜けている。モンクを知る上で重要な作品とは言い難いが、柔らかなモンク節に酔いしれることができる。

さらに、Body And SoulとJust A Gigoloはモンクのソロ。これらのソロも重苦しさがない。ピアノの前に座ってから構想を練ったのではなく、イメージを作り上げてから録音に臨んだのだろう。一杯やりながら聴いていると、夢見心地になるアルバム。あぁ、だからMonk's Dreamなのかも知れない。

1. Monk's Dream
2. Body And Soul
3. Bright Mississippi
4. Five Spot Blues
5. Bolivar Blues
6. Just A Gigolo
7. Bye-Ya
8. Sweet And Lovely
9. Monk's Dream [alternate take]
10. Body And Soul [alternate take]
11. Bright Mississippi [alternate take]
12. Bolivar Blues [alternate take]

Charlie Rouse - tenor saxophone (except tracks 2,6,10)
Thelonious Monk - piano
John Ore - bass (except tracks 2,6,10)
Frankie Dunlop - drums (except tracks 2,6,10)

Recorded on October 31 and November 1, 2 & 6, 1962 at Columbia 30th Street Studio, NYC.