Thelonious Monk / Misterioso

ジャケットデザインが最高。Giorgio De Chirico(ジョルジョ・デ・キリコ)によるもの。よく見ると、キャンバスの下にある右から左へ伸びる謎の人影がある。ジャケットからライブアルバムとは想像しにくいが、ファイブ・スポットでの1958年7月と8月の2つのセッションによるもの。その当時の熱い雰囲気が伝わってくる。なお、8月のセッションは、アルバムThelonious In Actionに分散されている。

このアルバムは、紛れもなくモンクの作品であるが、ジョニー・グリフィンが主役と言ってもいい。6曲目のMisteriosoにおけるグリフィンのソロの後半、モンクはピアノを弾いていない。「あいつに任せたぜ!」ということだ。CD化で最終曲Bye-Ya / Epistrophyが追加になったが、この曲だけがアート・ブレイキーのドラム。モンクのディスコグラフィーにはその記載がないが、本作のWikipediaには表記されている。ブレイキーは、グリフィンがうまくやれるか心配でファイブ・スポットに立ち寄ったのだろうか。ジャケット以上に謎である。

1. Nutty
2. Blues Five Spot
3. Let's Cool One
4. In Walked Bud
5. Just A Gigolo
6. Misterioso
7. Evidence
8. 'Round Midnight
9. Bye-Ya / Epistrophy (Theme)

Johnny Griffin - tenor saxophone (except track 5)
Thelonious Monk - piano
Ahmed Abdul-Malik - bass (except track 5)
Roy Haynes - drums (except tracks 5,9)
Art Blakey - drums (track 9)

Track 8
Recorded on July 9, 1958 at The Five Spot Cafe, NYC.

Tracks 1 - 7 & 9
Recorded on August 7, 1958 at The Five Spot Cafe, NYC.

Thelonious Monk / Thelonious In Action

1958年8月7日のファイブ・スポットでのセッションは、アルバムMisteriosoと本作に分散されている。従って、本作はMisterioso Vol.2的な位置づけなのだが、全く違うタイトル、全く違うジャケット。どちらも58年中にリリースされている。当然ながら、レーベルはどちらも同じリバーサイド。だが、原盤の番号を調べると、本作はRLP 12-262、MisteriosoはRLP 12-279となっている。つまり、MisteriosoはThelonious In Action Vol.2と言っても良いのだ。

2枚のアルバムを続けて聴くと、演奏自体は甲乙つけがたいが、本作は全体としてやや平坦な感じ。Misteriosoは、モンクのピアノソロによるJust A Gigolo、そしてアート・ブレイキーの飛び入り参加もあってか、観客がかなり盛り上がりライブの雰囲気がよく伝わってくる。それ以上に、ジャケットが逸品。アルバムに於けるジャケットの重要性が、同日のライブ演奏を収録したこの2枚からよく分かる。

1. Light Blue
2. Coming On The Hudson
3. Rhythm-A-Ning
4. Epistrophy - Theme
5. Blue Monk
6. Evidence
7. Epistrophy - Theme
8. Unidentified Solo Piano
9. Blues Five Spot
10. In Walked Bud / Epistrophy - Theme

Johnny Griffin - tenor saxophone
Thelonious Monk - piano
Ahmed Abdul-Malik - bass
Roy Haynes - drums

Recorded on August 7, 1958 at The Five Spot Cafe, NYC.

Thelonious Monk / Live At Carnegie Hall 1957

このアルバムがリリースされた2005年9月、レコード屋(死語か?)に飛び込んで購入した。1957年のライブ演奏が約50年後に発掘され、高音質で世に出た訳である。当時、モンクは41歳、そしてコルトレーンは31歳。モンクの曲にトレーンが果敢に挑戦した。コルトレーン研究家である藤岡靖洋氏が、ライナーノーツで次のように書いている。

「カーネギーホールの一夜。5バンドが交互に舞台に上がり、2回の公演(8時半からと深夜0時ごろ)が行われた。幸運な事にジョン・コルトレーンを擁するセロニアス・モンク・カルテットの演奏はほぼコンプリートに、しかもシャドウ・ウイルソンのドラム・キットの輪郭やアーメド・アブダル・マリクのベースの形さえ眼前に浮かぶほどの高音質で残されていたのだった。特にコルトレーンの演奏は、素晴らしいインプロヴァイザーとして、次代を担う革新性に溢れており、ソロの力強さイマジネーションの豊かさに於いても、全く申し分ない(2005年8月15日記)」。モンクのピアノについて述べていないのは、藤岡氏らしいのだ。なお、ブルーノートからのリリースであるが、CDは赤ラベル。

1. Monk's Mood
2. Evidence
3. Crepuscule With Nellie
4. Nutty
5. Epistrophy
6. Bye-Ya
7. Sweet And Lovely
8. Blue Monk
9. Epistrophy (incomplete)

John Coltrane - tenor saxophone
Thelonious Monk - piano
Ahmed Abdul-Malik - bass
Shadow Wilson - drums

Recorded on November 29, 1957 at Carnegie Hall, NYC by Voice of America.