Sonny Rollins / Alfie

いままで全く勘違いしていた。このアルバムは、イギリス映画『アルフィー』のサウンドトラックと思っていた。つまり、アルバムに収録された演奏が、映画の中で使われていると。中古CDを購入し、LPとCDのライナーノーツをじっくり読んだところ、劇中音楽を提供したのはロリンズであるが、映画の演奏はイギリスのミュージシャンによるとのこと。

さらに、CDのライナーノーツを担当した内藤遊人氏が、Alfie's Theme, On Impulse, Alfie's Theme Differentlyの3曲は小節数が合っていないと分析(1987年2月付け)。学生時代のジャズ研での自分の経験からも、アドリブが長く続くと譜面のどこをやっているか分からなくなることがよくあった。そんな場合、原則としてベースがコントロールするのだが、内藤氏はロリンズが自分のペースで軌道修正していると指摘。そして、ロリンズと共演経験がある菊池雅章のコメント「ロリンズはピアノやベースが提示するリズムの変化、コードの変化などは全く無視する。自分一人で己の音楽をうたっている感じである(スイングジャーナル誌1968年3月号より)」を掲載。やはり、いろんな意味でロリンズは偉大なのだ。

1. Alfie's Theme
2. He's Younger Than You Are
3. Street Runner With Child
4. Transition Theme For Minor Blues Or Little Malcolm Loves His Dad
5. On Impulse
6. Alfie's Theme Differently

Oliver Nelson - arranger, conductor
Sonny Rollins - composer, tenor saxophone
Bob Ashton - tenor saxophone
Phil Woods - alto saxophone
Danny Bank - baritone saxophone
J.J. Johnson - trombone (tracks 1,2)
Jimmy Cleveland - trombone (tracks 3-6)
Kenny Burrell - guitar
Roger Kellaway - piano
Walter Booker - bass
Frankie Dunlop - drums

Recorded on January 26, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Sonny Rollins / On Impulse!

ロリンズは自分らしく豪快にテナーを吹いているつもりなのだろうが、明らかに迷いがある。一曲目のOn Green Dolphin Streetが、あまりにも中途半端。そして、ロリンズ作の曲はここにはなく、スタンダード曲が並ぶ。レーベルをRCAからインパルスへ移籍した最初のアルバムなのだが、何か新しいことに挑戦しようという意気込みがないのだ。

ロリンズは本作を録音する1965年7月、同じレーベルのインパルスから同年1月にリリースされたコルトレーンのアルバムA Love Supremeをすでに聴いていた可能性がある。どちらも、プロデューサーはBob Thiele(ボブ・シール)。だとすれば、それまで以上にコルトレーンとは違う路線を進まなければならなかったはずだ。コルトレーンを意識しながら、自分の道を探り当てているロリンズの苦悩を感じ取れるアルバム。

1. On Green Dolphin Street
2. Everything Happens To Me
3. Hold 'Em Joe
4. Blue Room
5. Three Little Words

Sonny Rollins - tenor saxophone
Ray Bryant - piano
Walter Booker - bass
Mickey Roker - drums

Recorded on July 8, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Sonny Rollins / There Will Never Be Another You

印象的なジャケットで気にはしていたが、ついつい買いそびれてしまったアルバム。それもそのはずで、1965年6月17日のライブ演奏ながら、リリースされたのは78年。ニューヨーク近代美術館での雨の日の野外コンサート。ロリンズはステージの上を歩き回り、録音コンディションが悪くてお蔵入りになっていたそうだ。ジャズ雑誌では単発で取り上げてそれでお仕舞いだったのだろう。ジャケットは記憶にあったが、レコード評を読んだ記憶がない。

雨の日の野外ということで、観客はどういう状況だったのか。拍手がほとんど聴こえてこない。CDのジャケット裏に解説らしい文章が載っているのだが、あまりにも文字が小さすぎて読み取れない。さらに、ツイン・ドラムとクレジットされているものの、ラスト曲のThere Will Never Be Another Youでわずかに聴き取れるくらいである。お蔵入りになったのは、録音状態だけではなさそうだ。

1. On Green Dolphin Street
2. Three Little Words
3. Mademoiselle De Paris
4. To A Wild Rose
5. There Will Never Be Another You

Sonny Rollins - tenor saxophone
Tommy Flanagan - piano
Bob Cranshaw - bass
Mickey Roker – drums
Billy Higgins - drums

Recorded on June 17, 1965 at Museum of Modern Art, NYC.