ロリンズは自分らしく豪快にテナーを吹いているつもりなのだろうが、明らかに迷いがある。一曲目のOn Green Dolphin Streetが、あまりにも中途半端。そして、ロリンズ作の曲はここにはなく、スタンダード曲が並ぶ。レーベルをRCAからインパルスへ移籍した最初のアルバムなのだが、何か新しいことに挑戦しようという意気込みがないのだ。
ロリンズは本作を録音する1965年7月、同じレーベルのインパルスから同年1月にリリースされたコルトレーンのアルバムA Love Supremeをすでに聴いていた可能性がある。どちらも、プロデューサーはBob Thiele(ボブ・シール)。だとすれば、それまで以上にコルトレーンとは違う路線を進まなければならなかったはずだ。コルトレーンを意識しながら、自分の道を探り当てているロリンズの苦悩を感じ取れるアルバム。
1. On Green Dolphin Street
2. Everything Happens To Me
3. Hold 'Em Joe
4. Blue Room
5. Three Little Words
Sonny Rollins - tenor saxophone
Ray Bryant - piano
Walter Booker - bass
Mickey Roker - drums
Recorded on July 8, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.