Sonny Rollins / Worktime

ジャケットから無駄なイラストやタイトルを省いて、モノクロのロリンズの写真だけにしていたら、このアルバムの評価はもっと高くなったに違いない。せめて、Worktimeというタイトルは右上の片隅に小さく配置すべきであった。ところで、なぜにWorktimeなのかがいまだに分からない。そんな曲は収録されておらず、「作業時間」とは意味不明。2曲目のロリンズのオリジナル曲Paradoxをタイトルにしていれば、他のジャズマンが取り上げるような曲になったであろう。

このアルバムの聴きどころは1曲目のThere's No Business Like Show Business(ショウほど素敵な商売はない)。ミュージカル『アニーよ銃をとれ』の挿入曲。所有するジャズアルバムの中で、この曲は誰も演奏していない。そんなことから、ロリンズはミュージカルなどに素材を求めていたことが分かる。

1. There's No Business Like Show Business
2. Paradox
3. Raincheck
4. There Are Such Things
5. It's All Right With Me

Sonny Rollins - tenor saxophone
Ray Bryant - piano
George Morrow - bass
Max Roach - drums

Recorded on December 2, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Sonny Rollins / Moving Out

ロリンズとモンクのディスコグラフィーを見ると、1954年10月25日に、ロリンズはモンク、トミー・ポーター、アート・テイラーを集めて3曲録音している。More Than You Knowはmoving outに、残りの2曲I Want To Be HappyとThe Way You Look Tonightはモンク名義のアルバムThelonious Monk and Sonny Rollinsに収められた。つまり、初めにアルバムの構想があってメンバーを集めるのではなく、セッションをやって使えそうな曲を揃えてから、アルバムを企画したことが容易にわかる。

ミュージシャンはビジネスに口を出せなかった。ジャケットを見ても明らか。ロリンズ以外には、モンクとケニー・ドーハムの名前しかない。10月25日の録音からロリンズは雲隠れする。約1年後の1955年11月7日に、クリフォード・ブラウンとのセッションに参加。moving out(移転)というタイトルが、妙にそれを暗示している感じだ。最近購入した国内盤CDには、アイラ・ギトラ―(訳:小川隆夫)の解説が載っていた。moving outは演奏している際に、高いギアにシフト・チェンジするように一歩踏み出すことを意味すると書いている。そうかもしれないが、雲隠れのことには一切触れていない。

1. Moving Out
2. Swingin' For Bumsy
3. Silk 'N' Satin
4. Solid
5. More Than You Know

Tracks 1, 2, 3 & 4
Sonny Rollins - tenor saxophone
Kenny Dorham - trumpet
Elmo Hope - piano
Percy Heath - bass
Art Blakey - drums
Recorded on August 18, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Track 5
Sonny Rollins - tenor saxophone
Thelonious Monk - piano
Tommy Potter - bass
Art Taylor - drums
Recorded on October 25, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Sonny Rollins / With The Modern Jazz Quartet

MJQとのセッションによるアルバムだが、それは全13曲中の4曲のみ。ジャケット右端にArt BlakeyとKenny Drewの名前が記載されているように、彼らとのセッション8曲が含まれている。残りの1曲は、なぜかマイルスがピアノで参加。1953年10月、ロリンズはMJQと録音したが、アルバム化するには曲数が不足。つまり、その時点でのアルバム制作は想定されていなくて、遡る51年1月と12月の2つのセッションの録音を探し出し、アルバムの目途が立ったと思われる。

ということは、当時はアート・ブレイキーやマイルスよりもMJQの名声が高かったということである。今更ながらではあるし、ブログで何度も書いてきたように、ロリンズは自身初のリーダーアルバムからすでにロリンズだったことを示すアルバム。なので、タイトルWith The Modern ... は間違いではないものの、きっぱりとRollinsにすべきだったと思うのだが。

1. The Stopper
2. Almost Like Being In Love
3. No Moe
4. In A Sentimental Mood
5. Scoops
6. With A Song in My Heart
7. Newk's Fadeaway
8. Time On My Hands
9. This Love Of Mine
10. Shadrack
11. On A Slow Boat To China
12. Mambo Bounce
13. I Know

Tracks 1 - 4
Sonny Rollins - tenor saxophone
Milt Jackson - vibraphone
John Lewis - piano
Percy Heath - bass
Kenny Clarke - drums
Recorded on October 7, 1953 at Apex Studios, NYC.

Tracks 5 - 12
Sonny Rollins - tenor saxophone
Kenny Drew - piano
Percy Heath - bass
Art Blakey - drums
Recorded on December 17, 1951 at Apex Studios, NYC.

Track 13
Sonny Rollins - tenor saxophone
Miles Davis - piano
Percy Heath - bass
Roy Haynes - drums
Recorded on January 17, 1951 at Apex Studios, NYC.