Miles Davis / Manchester Concert - Complete 1960 Live At The Free Trade Hall

マイルスのディスコグラフィーを見ると、ソニー・スティットとの実質的な共演は、1960年秋のヨーロッパツアーのみ。なぜに短期間だったのかが知りたくて、マイルス・デイビス自叙伝②を本棚から取り出した。その冒頭に、1960年の春と秋のヨーロッパツアーのことが書かれている。春のツアーの前にコルトレーンが脱退を表明。後釜としてウェイン・ショーターをマイルスに紹介したが、マイルスは拒否。ツアー後に、コルトレーンの後任としてジミー・ヒースを雇った。ジミーは刑務所から仮釈放されたばかりで、移動は制限。秋のツアーにはジミーを連れて行けず、ウェインに連絡を取ったのだが、ジャズ・メッセンジャーズの仕事があるということで、今度はウェインが拒否。

結局、テナーもアルトもできるソニー・スティットを雇うことに。秋のツアー後、マイルスは自分のフェラーリにジミーを乗せ、「スティットがSo Whatでまたヘマをしやがった」なんて会話をしたと書いている。それは、本作の9月27日のマンチェスター公演のことなのか、10月13日のストックホルムか、それとも10月27日のアムステルダムなのかは定かではない。「またヘマを」と書いてあるので、全てかも知れない。そして、61年初めにスティットがバンドを辞めたとあるので、スティット自身がマイルスバンドで続けるのは無理だと判断したのだろう。

Disc 1
1. Four #1
2. All Of You
3. Walkin
4. Four #2
5. All Blues
6. Well, You Needn't

Disc 2
1. Autumn Leaves
2. So What
3. Stardust
4. Theme
5. Thought About You *
6. All Blues *
7. Seven Steps To Heaven / The Theme *

Miles Davis - trumpet
Sonny Stitt - alto saxophone, tenor saxophone
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums
Recorded on September 27, 1960 at The Free Trade Hall, Manchester, UK.

* bonus tracks
Miles Davis - trumpet
George Coleman - tenor saxophone
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums
Recorded on May 29, 1963 at Jazz Villa, Saint Louis.

Miles Davis / Live In Stockholm 1960 Complete

2枚組LPがリリースされたとき、つまりコンプリート盤でないときは、マイルスとコルトレーンのそれぞれの写真を大きく並べたジャケットだった。1960年3月と10月のライブ演奏。3月がコルトレーン、10月がソニー・スティットという構成。4枚組のコンプリート盤中古CDを見つけてしまい、多少の迷いはあったものの手に入れた。

名演奏が並んでいる訳ではないが、コルトレーンがグループから離れると言うマイルスの動揺、コルトレーンの自立へ向けての意気込み、スティットのマイルスグループでやっていけるかの不安。そんなことを想いながら、1960年へタイムスリップできるアルバム。LPとCDには、マイルスグループ退団の1ヶ月前のコルトレーンの6分14秒のインタビューが納められている。以下は英文ライナーノーツから抜粋。

On the included interview with Carl-Erik Lindgren, broadcast on March 26, 1960, Coltrane tells a little about his way of playing and what he is looking for: "I'm trying so many things at one time. You see, I haven't sorted them out, I have a whole bag of things I'm trying to work through and get the essential..."(1960年3月26日に放送されたカールエリック・リンドグレーンへのインタビューで、コルトレーンが自分の演奏方法と探しているものについて語っている。「一度にたくさんのことを試みている。整理は出来ていないが、エッセンスを手に入れようとバッグには詰め込んでいるんだ」。)

Disc 1
1. So What
2. On Green Dolphin Street
3. All Blues / The Theme
4. Coltrane Interview
5. So What
6. Fran-Dance

Disc 2
7. Walkin' / The Theme
8. Walkin'
9. Autumn Leaves
10. So What
11. 'Round Midnight / The Theme

Disc 3
12. June Night
13. Stardust
14. On Green Dolphin Street
15. All Blues / The Theme
16. All Of You

Disc 4
17. Walkin'
18. Autumn Leaves / The Theme
19. Softly, As In A Morning Sunrise
20. Makin' Whopee
21. Lover Man
22. If I Were A Bell
23. No Blues / The Theme

Tracks 1 - 7
Miles Davis - trumpet
John Coltrane - tenor saxophone
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums

Tracks 8 - 11, 14 - 18, 22 & 23
Miles Davis - trumpet
Sonny Stitt - alto saxophone (track 9), tenor saxophone (except track 9)
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums

Tracks 13 & 21
Sonny Stitt - alto saxophone
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums

Tracks 12, 19 & 20
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums

Tracks 1 - 7
Recorded on March 22, 1960 at Konserthuset, Stockholm.
Tracks 8 - 23
Recorded on October 13, 1960 at Konserthuset, Stockholm.

Miles Davis / Sketches Of Spain

マイルス自叙伝①では、本作についてマイルスは非常に多くの事を語っている。その中の一文。「〈スケッチ・オブ・スペイン〉で一番難しかったのは、もともとは歌のパートをトランペットで吹き、しかもほとんどを即興でやることだった。言葉と音楽の中間と言うか、それを吹くのが難しかった。おまけにアラブ音楽ふうの音階や、アフリカ黒人の音階があって、それが転調したり、よじれたり、曲がったり、うねったりと動きまわって、まるでモロッコにでもいるような感じだった。そして本当に難しかったもう一つの理由は、一回か二回の演奏で完成させなきゃならなかったことだ。〈スケッチ・オブ・スペイン〉みたいな音楽は、三回も四回もやったら、表現したいフィーリングが失われてしまうからだ」。

LPのライナーノーツは、渡辺貞夫へのインタビュー形式になっている。なぜ日野皓正ではなく、ナベサダだったのか。恐らく、アレンジャーとしてのナベサダを選んだのだろう。インタビューアーからの質問。「一体、完璧な演奏ってのはどういう演奏をいうんでしょう」「そうね、理論的に整然としていることなのか ・・・ 一個人を対象にしていうなら、その人がいかに個性があり、その人が言いたい事をおおらかに歌っているかいないか、それをいい悪いと決めるわけで、それしかないんじゃないかな」と答えている。どうも理論的に矛盾している感じ…。

1. Concierto De Aranjuez
2. Will O' The Wisp
3. The Pan Piper
4. Saeta
5. Solea

Miles Davis - trumpet, flugelhorn
Johnny Coles, Bernie Glow, Taft Jordan, Louis Mucci, Ernie Royal - trumpet
Eddie Caine - flute, flugelhorn
Albert Block - flute
John Barrows, James Buffington, Earl Chapin, Tony Miranda, Joe Singer - French horn
Danny Bank - bass clarinet
Bill Barber, Jimmy McAllister - tuba
Dick Hixon, Frank Rehak - trombone
Romeo Penque - oboe
Harold Feldman - clarinet, flute, oboe
Jack Knitzer - bassoon
Janet Putnam - harp
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums
Elvin Jones, Jose Mangual - percussion
Gil Evans - arranger, conductor

Recorded on November 20, 1959 at Columbia 30th Street Studio, NYC.
Recorded on March 10, 1960 at Columbia 30th Street Studio, NYC.