マイルス自叙伝①では、本作についてマイルスは非常に多くの事を語っている。その中の一文。「〈スケッチ・オブ・スペイン〉で一番難しかったのは、もともとは歌のパートをトランペットで吹き、しかもほとんどを即興でやることだった。言葉と音楽の中間と言うか、それを吹くのが難しかった。おまけにアラブ音楽ふうの音階や、アフリカ黒人の音階があって、それが転調したり、よじれたり、曲がったり、うねったりと動きまわって、まるでモロッコにでもいるような感じだった。そして本当に難しかったもう一つの理由は、一回か二回の演奏で完成させなきゃならなかったことだ。〈スケッチ・オブ・スペイン〉みたいな音楽は、三回も四回もやったら、表現したいフィーリングが失われてしまうからだ」。
LPのライナーノーツは、渡辺貞夫へのインタビュー形式になっている。なぜ日野皓正ではなく、ナベサダだったのか。恐らく、アレンジャーとしてのナベサダを選んだのだろう。インタビューアーからの質問。「一体、完璧な演奏ってのはどういう演奏をいうんでしょう」「そうね、理論的に整然としていることなのか ・・・ 一個人を対象にしていうなら、その人がいかに個性があり、その人が言いたい事をおおらかに歌っているかいないか、それをいい悪いと決めるわけで、それしかないんじゃないかな」と答えている。どうも理論的に矛盾している感じ…。
1. Concierto De Aranjuez
2. Will O' The Wisp
3. The Pan Piper
4. Saeta
5. Solea
Miles Davis - trumpet, flugelhorn
Johnny Coles, Bernie Glow, Taft Jordan, Louis Mucci, Ernie Royal - trumpet
Eddie Caine - flute, flugelhorn
Albert Block - flute
John Barrows, James Buffington, Earl Chapin, Tony Miranda, Joe Singer - French horn
Danny Bank - bass clarinet
Bill Barber, Jimmy McAllister - tuba
Dick Hixon, Frank Rehak - trombone
Romeo Penque - oboe
Harold Feldman - clarinet, flute, oboe
Jack Knitzer - bassoon
Janet Putnam - harp
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums
Elvin Jones, Jose Mangual - percussion
Gil Evans - arranger, conductor
Recorded on November 20, 1959 at Columbia 30th Street Studio, NYC.
Recorded on March 10, 1960 at Columbia 30th Street Studio, NYC.