Miles Davis / Live in Copenhagen 1964

マイルスグループは1964年7月に来日し、9月から10月にかけてヨーロッパ遠征を果たしている。その中のコペンハーゲンでの演奏なのだが、そもそもアルバム制作を前提とした録音ではなかった模様。録音バランスはかなり悪い。なので、長い間お蔵入りしていて、2012年5月に正式にCD化された。

前作は9月25日録音のアルバムMiles In Berlinで、曲目はほぼ同様。それから9日後の録音が本作。たった9日間ではあるものの、ウェイン・ショーターのグループおける立ち位置が明確になった感じだ。ベルリンでは手探り感があったものの、このコペンハーゲンではしっかりと自己主張している。ジャズ、特にライブは場数を踏むことが大事なのだ。そのショーターがジャケットに写っていないのが残念。

1. Autumn Leaves
2. So What
3. Sttella By Starlight
4. Walkin'
5. All Of You
6. Joshua / The Theme

Miles Davis - trumpet
Wayne Shorter - tenor saxophone
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on October 4, 1964 at KB Hallen, Copenhagen, Denmark.

Miles Davis / Miles In Berlin

マイルス自叙伝②には、1964年7月の日本公演からの帰国直後のことが書いてある。『ウェイン・ショーターがジャズ・メッセンジャーズを辞めたという、待ちに待った知らせが入ってきたのは、ロサンゼルスにいる時だった。〈中略〉ウェインには、オレ達全員からバンドへの参加を求める電話が殺到したはずだ。とうとう彼から電話がかかってきた時には、オレは「飛んでこい!」と叫んだ。間違いなく来るように、しかも恰好をつけて来れるようにと、ファーストクラスの切符を送ってやった。オレはそうまでしてウェインを入れたかったんだ』。

ウェイン・ショーターがマイルスグループに正式に参加し、最初のステージはロサンゼルスの「ハリウッド・ボウル」だったが、最初に録音された音源はこのアルバムである。ここに「黄金クインテット」が誕生した。しかし、演奏曲目は従来通りで、真の意味での「黄金」のスタートは、翌65年1月録音のアルバムE.S.P.と言えるだろう。

1. Milestones
2. Autumn Leaves
3. So What
4. Stella By Starlight
4. Walkin'
5. Go-Go [Theme And Announcement]

Miles Davis - trumpet
Wayne Shorter - tenor saxophone
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - double bass
Tony Williams - drums

Recorded on September 25, 1964 at Philharmonie Hall, Berlin, Germany.

Miles Davis / Miles In Tokyo

このアルバムを捉えた日本公演に関して、マイルス自身がしっかりと自叙伝②で語っている。観客がマイルスの演奏に満足した以上に、マイルスは日本に大満足だったのだ。本作は、当時の日本におけるジャズのポテンシャルを示したという意味で価値が高いと言えるのだろう。ちなみに、CD化でジャケットは変更され、LPよりもライブの雰囲気が出ている。以下は、マイルスの発言。

『1964年の7月、サム・リバースが入った新しいバンドでコンサートをするために、東京へ行った。初めての日本だった。〈中略〉日本はものすごく遠い国だったから、オレは飛行機の中でコカインと睡眠薬を飲み、それでも眠れなくて酒もガンガン飲んでいた。到着すると、大変な歓迎ぶりで驚いた。オレ達が飛行機を降りようとすると、出迎えの人々は「日本にようこそ!マイルス・デイビス!」とか叫んでいた。なのにオレときたら、そこら中に吐きまくる始末だった。だが、すばらしいことに、彼らはさっと薬を出して介抱してくれ、まるで王様のように扱ってくれた。本当に楽しくて、すばらしかった。あの日以来、日本の人々を愛しているし、尊敬もしている。ビューティフルな人々だ』。機内でコカインを飲める時代だったのだ。

1. Introduction by Teruo Isono
2. If I Were A Bell
3. My Funny Valentine
4. So What
5. Walkin'
6. All Of You
7. Go-Go (Theme and Announcement)

Miles Davis - trumpet
Sam Rivers - tenor saxophone
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on July 14, 1964 at Sekai Jazz Festival, Koseinenkin Kaikan, Tokyo.