Miles Davis / Quiet Nights

イアン・カー著『マイルス物語』より。「ギル・エバンスは言った。〈あれは出すべきじゃなかったんだ。第一、あれはアルバムの片面だよ。そうしなきゃならないわけがあったのかもしれないがね。〉マイルスは全責任はテオ・マセロにあるとして、カンカンに怒った」。

ここでいう「あれ」とは本作のことである。つまり、演奏者が納得していないアルバムなのだ。それを知って聴いてしまうと、なおさら中途半端なアルバムだと思ってしまう。録音データからも次のことが分かる。Summer Nightをカルテットで録音した前日は、同じメンバーで次のアルバムSeven Steps To Heavenの中の3曲が録音されている。つまり、本アルバムをリリースするのに、曲数が足りないので無理矢理押し込んだ格好になっているのだ。かといって、一曲一曲の出来は決して悪くはないのだが。

1. Song No.2
2. Once Upon A Summertime
3. Aos Pes Da Cruz
4. Song No.1
5. Wait Till You See Her
6. Corcovado
7. Summer Night
8. Time Of The Barracudas

Miles Davis - trumpet
Gil Evans - arranger, conductor
Shorty Baker, Bernie Glow, Louis Mucci, Ernie Royal - trumpets
J.J. Johnson, Frank Rehak - trombones
Ray Alonge, Don Corrado, Julius Watkins - French horns
Bill Barber - tuba
Steve Lacy - soprano saxophone
Albert Block - flute
Ray Beckenstein, Jerome Richardson - woodwinds
Garvin Bushell, Bob Tricarico - bassoons
Janet Putnam - harp
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums
Willie Bobo - bongos
Elvin Jones - percussion
Victor Feldman - piano (track 7)
Ron Carter - bass (track 7)
Frank Butler - drums (track 7)

Tracks 1 & 2
Recorded on November 6, 1962 at CBS 30th Street Studio, NYC.

Tracks 3 & 6
Recorded on July 27, 1962 at CBS 30th Street Studio, NYC.

Tracks 4 & 5
Recorded on August 13, 1962 at CBS 30th Street Studio, NYC.

Track 7
Recorded on April 17, 1963 at Columbia Studios, Los Angeles.

Track 8
Recorded on October 9 & 10, 1963 at Columbia Studios, Los Angeles.

Miles Davis / More Music From The Legendary Carnegie Hall Concert

マイルスの未発表作品(1999年1月リリース)。同日の録音はアルバムAt Carnegie Hallですでに発売されていた。従って、このアルバムの5曲のみが紛失されたとは考えにくい。2枚組みでの発売も検討したのだろうが、安全策を取ったのか。それとも、アランフェス協奏曲は売れないと判断したのか。たしかに、アランフェスはアルバムSketches Of Spainに収録されていて完成された演奏。ゆえに、同曲のライブアルバム発売は長い時間を必要としたのだろう。

マックス・ローチの乱入については、At Carnegie Hallのブログで書いたが、マイルス自叙伝②には次のようにあった。「それは、すばらしい音楽の夕べだった。予想していなかった唯一の混乱は、マックス・ローチが何人かを引き連れて、プロテストに来て、ステージに座り込んだことだった。〈中略〉だがオレが問題にしたのは、演奏が始まろうって時に、プラカードを持ってステージに座り込んで、音楽を台なしにしてしまったことだ。彼が来た時に、オレはちょうど演奏を始めるところだったから、調子が狂ってしまったんだ」。マイルスはローチの行動に怒っていない。そういうことは休憩時間にやれよと言っている感じだ。

1. Concierto De Aranjuez (Part 1)
2. Concierto De Aranjuez (Part 2)
3. Teo
4. Walkin'
5. I Thought About You

Miles Davis - trumpet
Hank Mobley - tenor saxophone (tracks 3-5)
Wynton Kelly - piano (tracks 3-5)
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums
Gil Evans And His Orchestra (tracks 1,2)

Recorded on May 19, 1961 at Carnegie Hall, NYC.

Miles Davis / At Carnegie Hall

このアルバムで、『日々JAZZ』のブログ数が3,500となった。2010年11月2日に、アルバムMingus In Europe Volume 1からスタート。今日(19年11月24日)までの日数を、オンラインで計算したら2,944日と出て来た。「日々」を大幅にクリア。「所有するジャズアルバム、そしてディランを中心に…」というスタンスなので、+556が「徒然ディラン」とほぼ一致。ようやくここまで。まだまだこれから。

マイルスが録音を拒否したライブ演奏だったらしい。その真意はよく分からない。だが、テオ・マセロが密かに録音し、マイルスからはOKが出たそうだ。このライブでのハプニング。客席にいたマックス・ローチが「アフリカ人民のためのアフリカ!今こそ自由を!」と書いたプラカードを掲げて舞台に座り込んだ。この騒動は第一部と第二部の休憩時間、もしくはSomeday My Prince Will Comeの演奏途中という記述もある。確かに、この曲はあっと言う間に終わってしまう。いかにも不自然。

マックス・ローチがアルバムWe Insist!を録音したのは1960年11月。マイルスは前進を続けていたが、人種問題は何も進んでいなかった。ジャケットを回転しトリミングすると、マイルスはマックス・ローチと会話しているようだ。

1. So What
2. Spring Is Here
3. No Blues
4. Oleo
5. Someday My Prince Will Come
6. Medley: The Meaning Of The Blues - Lament
7. New Rhumba

The Miles Davis Quintet
Miles Davis - trumpet
Hank Mobley - tenor saxophone
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums

The Gil Evans Orchestra
Ernie Royal, Bernie Glow, Johnny Coles, Louis Mucci - trumpets
Jimmy Knepper, Dick Hixon, Frank Rehak - trombones
Julius Watkins, Paul Ingrahan, Bob Swisshelm - French horns
Bill Barber - tuba
Romeo Penque, Jerome Richardson, Eddie Caine, Bob Tricarico, Danny Bank - reeds
Janet Putnam - harp
Bobby Rosengarden - percussion

Recorded on May 19, 1961 at Carnegie Hall, NYC.