Miles Davis / In Paris Festival International

所有するマイルのアルバムの中で最も古い録音。タッド・ダメロンがリーダーであるものの、マイルスとの双頭コンボと位置付けられている。ライブ演奏で録音はかなり悪い。だが、フランス人には熱狂的に迎えられたことがうかがえる。「黒人」であることのハンディが、ヨーロッパ、特にフランスではなかったという事実も見えてくる。

LPを所有していた頃は、録音の悪さだけでなく司会者がうるさく、ターンテーブルにはほとんど乗せなかった。大和明氏のライナーノーツ(1977年10月1日付け)を読み直したところ、ラジオ生放送のエア・チェックが音源であることが分かった。「パリの聴衆にとってこのダメロン=デイビス・クインテットの演奏はチャーリー・パーカー・クインテットと並ぶ当時の“ニュー・ジャズ”として期待をもって迎えられた。そして彼らは見事にその期待に応えた第一級の演奏を披露したのであった。それはエア・チェックをソースとしたこのアルバムを聞いていただければ一目瞭然とするであろう」。偶然に生まれたアルバムである。

1. Rifftide
2. Good Bait
3. Don't Blame Me
4. Lady Bird
5. "Wah" "Hoo"
6. Allen's Alley
7. Embraceable You
8. Ornithology
9. All The Things You Are

Miles Davis - trumpet
James Moody - tenor saxophone
Tadd Dameron - piano
Barney Spieler - bass
Kenny Clarke - drums

Recorded on May 8, 9, 12, 14 & 15, 1949 at the Paris Festival International de Jazz, Paris.

Miles Davis / Tutu

デスモンド・ツツ司教が、12月26日に90歳で他界した。「南アフリカのアパルトヘイト撤廃に向けた運動を率い、1984年にノーベル平和賞を受賞。86年、黒人として初めての南アフリカのキリスト教指導者の最高位に就任。大統領になったネルソン・マンデラ氏が率いるアフリカ民族会議が武装闘争を進めた一方、ツツ氏は非暴力を貫き、対話と相互理解による民主化を目指し続けた」とネット情報。そのツツ氏をタイトルにしたアルバム。89年秋に出版されたマイルス自叙伝には「ツツという名前を聞いた途端、うん、これだと思った。そして、Full Nelsonという曲はネルソン・マンデラに因んだものだ」と記されている。

2012年1月21日に死去した石岡瑛子氏によるプロデュースのジャケット。モノクロであり、マイルスやタイトルの文字が全く記載されていない。マイルスの「顔」が全てを語っているはずというのが、石岡氏のコンセプトだったのだろう。「マイルス」という日本語での4文字によって、自分は言わばジャズの虜になってしまった。しかしながら、その先にあったのはマイルスの眼光鋭い「顔」だったのだ。このアルバムには、マイルスから勝負を挑まれた音楽が詰まっている。

1. Tutu
2. Tomaas
3. Portia
4. Splatch
5. Backyard Ritual
6. Perfect Way
7. Don't Lose Your Mind
8. Full Nelson

Miles Davis - trumpet
Marcus Miller - bass guitars, guitar, synthesizers, drum machine programming, bass clarinet, soprano sax, other instruments
Jason Miles - synthesizer programming
Paulinho da Costa - percussion (tracks 1,3-5)
Adam Holzman - synthesizer solo (track 4)
Steve Reid - additional percussion (track 4)
George Duke - all except percussion, bass guitar, trumpet (track 5)
Omar Hakim - drums and percussion (track 2)
Bernard Wright - additional synthesizers (tracks 2,7)
Michael Urbaniak - electric violin (track 7)
Jabali Billy Hart - drums, bongos

Recorded in February 6 - March 25, 1986 in NYC and Los Angeles.