McCoy Tyner / The Real McCoy

マッコイは、コルトレーンカルテットを1965年暮れに脱退。その後、自らの音楽を最初に立ち上げようとしたのがこのアルバムであり、全5曲がマッコイの作品で構成されている。しかしである、何故にドラムはエルビンだったのか?エルビンに不満があるわけではないが、コルトレーンの音楽と決別したかったのなら、違うドラマーにすべきだった。さらに、ベースがロン・カーター。この時期、ロンはマイルスのグループでベースの定位置にいた。つまり、マッコイにはグループサウンドの明確なコンセプトがまだなく、メンバーは借りてくるしかなかったのである。

なお、5曲中の3曲は10年以上経って再演。Four By FiveとBlues On The CornerはアルバムSupertrios(1977年4月録音)、Search For Peaceはアルバム13th House(1980年10月録音)に収録。驚いたことに、本田竹曠がアルバムMy Funny ValentineでBlues On The Cornerを1985年4月に録音している。このアルバムはスタンダード集であるにもかかわらず、スタンダードでないこの曲を忍び込ませた。本田がマッコイから影響を受けていた事実がここにある。

1. Passion Dance
2. Contemplation
3. Four By Five
4. Search For Peace
5. Blues On The Corner

Joe Henderson - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Ron Carter - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on April 21, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

McCoy Tyner / Today And Tomorrow

1963年6月と64年2月の2つのセッションから構成。ピアノトリオと3管フロントのセクステットで3曲ずつ。計6曲が交互に並べられている。アルバムのコンセプトがイマイチ分からない。トリオはスタンダード曲、セクステットはマッコイのオリジナル曲。スタンダードがToday、オリジナルがTomorrowなのか。今日は赤く燃えていて、明日のことを考えるとブルーになってしまう。ジャケットのタイトル色とマッコイの表情から、そんなことも想像できる。

この時期、マッコイはコルトレーングループに属していて、アルバムImpressionsなどを録音している。そんな中、自己表現したいという思いで作ったアルバムなのだろう。以下はCD帯からだが、まだまだマッコイ色が出ているとは言い切れない。マッコイ、25歳の録音。

「枯葉」「チュニジアの夜」等、極めつきの名曲がマッコイ色に染まる。トリオとセクステット、2種類の構成で多彩な持ち味をアピールした1枚。サン・ラ・オーケストラの看板奏者、ジョン・ギルモアらサイドメンも味わい深いプレイを展開。

1. Contemporary Focus
2. A Night In Tunisia
3. T 'N' A Blues
4. Autumn Leaves
5. Three Flowers
6. When Sunny Gets Blue

Tracks 1, 3 & 5
John Gilmore - tenor saxophone
Frank Strozier - alto saxophone
Thad Jones - trumpet
McCoy Tyner - piano
Butch Warren - bass
Elvin Jones - drums
Recorded on February 4, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 2, 4 & 6
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Albert Heath - drums
Recorded on June 4, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

McCoy Tyner / Live At Newport

LPのライナーノーツを担当した佐藤秀樹氏の解説はとても興味深い。マッコイはニューポートのステージに立つ朝までモントリオールで演奏していて僅か3時間の睡眠。トランペットのクラーク・テリーは、自分の楽器を他人の車の中に置き忘れてしまい、ビル・ベリーから楽器を借りた。さらには、マッコイは、チャーリー・マリアーノとボブ・クランショウとは初顔合わせ。ドタバタでステージに上がった5人のジャズマンということなのである。

そんなことを微塵も感じさせない演奏。だから、プロなんだなぁと思ってしまう。ジャズ特有のライブでの一発勝負。3曲目のAll Of Youはフロントの2管を抜いたトリオでの演奏ながら、見事に出だしが決まっている。マッコイが本物のマッコイなる前のアルバムだが、ジャケットのマッコイは「眠いけど、自分の力を出し切るぜ!」と言っているようだ。

1. Newport Romp
2. My Funny Valentine
3. All Of You
4. Monk's Blues
5. Woody'n You

Charlie Mariano - alto saxophone (tracks 1,2,5)
Clark Terry - trumpet (tracks 1,2,5)
McCoy Tyner - piano
Bob Cranshaw - bass
Mickey Roker - drums

Recorded on July 5, 1963 at the Newport Jazz Festival, Newport, Rhode Island.