Lee Konitz / Very Cool

後藤雅洋氏著『一生モノのジャズ名盤500』から抜粋。「スタートが〈クール派〉だったのでこうしたタイトルが付いたのだろうが、師匠トリスターノの元を離れたコニッツはかなりスタイルを変え、どちらかというとアルトの音色も暖か味、まろやかさを増している」。

同感。"Very Cool"と言われても、受け入れ難い。ましてや、ジャケットのリー・コニッツの表情がクールを拒否している。つまり、ここでの"Very"は、「まさしく」ではなく「突き抜けて」のような意味合いだと思う。コニッツがクールを抜け一歩先に進み出たイメージ。ラスト曲にチャーリー・パーカー作Billie's Bounce(ビリーズ・バウンス)を配置したことも、それを示している。

1. Sunflower
2. Starway To The Stars
3. Movin' Around
4. Kary's Trance
5. Crazy She Calls Me
6. Billie's Bounce

Lee Konitz - alto saxophone
Sal Mosca - piano
Peter Ind - bass
Shadow Wilson - drums

Recorded on May 12, 1957 in NYC.

Lee Konitz / The Real Lee Konitz

アルバムタイトルのRealが意味するところは。リー・コニッツ自身が、ライブ演奏を録音することを決め、そして編集作業まで行ったアルバムだから。ライブ演奏なのに、いきなりアドリブから始まったり、テーマで終わらなかったり、フェイドアウトしたりと、かなり独断的な作りになっているアルバム。

このアルバムに対する世の中の評価は知らないが、BGM的に聴けば良いと思う。真剣に聴いていて、プツリと曲が終わってしまうとフラストレーションが残るだけである。演奏内容は決して悪くない。だが、ジャケットを見ていると「もっと真剣にアルバム作れよ!」言いたくなる。C級に近いB級ジャズ。

1. Straightaway
2. Foolin' Myself
3. You Go To My Head
4. My Melancholy Baby
5. Pennies In Minor
6. Sweet And Lovely
7. Easy Livin'
8. Midway

Lee Konitz - alto saxophone
Don Ferrara - trumpet (tracks 5,6)
Billy Bauer - guitar
Peter Ind - bass
Dick Scott - drums

Recorded on February 15, 1957 at The Midway Lounge, Pittsburgh.

Lee Konitz / Inside Hi-Fi

CD帯から。「クール・ジャズの創始者トリスターノ門下の筆頭格コニッツが、アトランティックに残した初期の代表作。ピアノレス・カルテットで冴える切れ味鋭いアルトサックスをはじめ、テナーサックスを吹いたトラックも収録した貴重盤」。間違いはないけれど、誤解される文。ピアノレスではなく、ギタートリオとピアノトリオをバックにした2つのセッションを収録。全8曲中、5曲がテナーで残りがアルト。

それにしても、なぜにタイトルにHi-Fiという言葉を使ったのか。本作の録音は1956年で、この言葉が定着し始めた頃。High Fidelity(高忠実度、高再現性)の略なので、原曲を無理に崩さない忠実な演奏、というか秩序立った演奏といいたいのだろう。それを表現したジャケット写真が、電子回路の向こうにリー・コニッツの顔。

1. Kary's Trance
2. Everything Happens To Me
3. Sweet And Lovely
4. Cork 'N' Bib
5. All Of Me
6. Star Eyes
7. Nesuhi's Instant
8. Indiana

Tracks 1 - 4
Lee Konitz - alto saxophone, tenor saxophone
Billy Bauer - guitar
Arnold Fishkin - bass
Dick Scott - drums
Recorded on October 16, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 5 - 8
Lee Konitz - alto saxophone, tenor saxophone
Sal Mosca - piano
Peter Ind - bass
Dick Scott - drums
Recorded on September 9, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.