Lee Morgan / The Rumproller

タイトル曲The Rumprollerは、意外にもアンドリュー・ヒルの作品。しかし、ヒル自身はこの曲を録音していない。64年7月リリースのアルバムThe Sidewinderが空前の大ヒットとなり、ヒルはその続編を願ってモーガンに提供したのだろう。そして、次に重要なのはDesert Moonlight(月の砂漠)。モーガンは、この曲をどこで仕入れたのか。もしかすると、広範囲に活動していたビリー・ヒギンズが持ち込んだのかも知れない。所有するアルバムでは、秋吉敏子が2017年9月に録音したMy Long Yellow Roadの中でピアノとベースのデュオを展開している。こちらは、Desert Moonと表記。

このアルバムで忘れてならないのはジャケット。MORGANのNの下にグラフィックデザイナーReid Milesの文字。ジャケットをずっと眺めていても飽きが来ない。The Sidewinderのような大ヒットとはならなかったが、ジャケットでは間違いなく勝った。ところで、Rumprollerの意味が分からない。ネット上の辞書で引くと、本アルバムが出てくるのである。

1. The Rumproller
2. Desert Moonlight
3. Eclipso
4. Edda
5. The Lady

Lee Morgan - trumpet
Joe Henderson - tenor saxophone
Ronnie Mathews - piano
Victor Sproles - bass
Billy Higgins - drums

Recorded on April 9 & 21, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Lee Morgan / Search For The New Land

大ヒットを放ったアルバムThe Sidewinder(1963年12月録音)の次の作品(64年2月録音)。前作をファンキー・ジャズと呼べば、本作がモード・ジャズということになる。わずか3ヶ月の間に、大きく舵を切った。では、サイドワインダーの反響がそうさせたのだろうか。ライナーノーツで、原田和典氏が的確に指摘している。

『本作は64年2月に録音された。つまり、この時点で「ザ・サイドワインダー」は発売されていないし、まさかそれがジャズとしては異例のベスト・セラーになるとは当のモーガンですら予想していなかったに違いない。歴史に「もし」「たら」はあり得ないけれど、万が一「ザ・サイドワインダー」がヒットしていなければ、モーガンにはよりモーダルでダークな方向に歩みを進めるという選択肢もあったはずだ』。タイトルだけでなく、ジャケットを眺めているとモード・ジャズへの決意の表情とも思えてくる。

1. Search For The New Land
2. The Joker
3. Mr. Kenyatta
4. Melancholee
5. Morgan The Pirate

Lee Morgan - trumpet
Wayne Shorter - tenor saxophone
Grant Green - guitar
Herbie Hancock - piano
Reggie Workman - bass
Billy Higgins - drums

Recorded on February 15, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Lee Morgan / The Sidewinder

Netflixでドキュメンタリー映画I CALLED HIM MORGAN(私がモーガンと呼んだ男)を観て、CD棚から取り出したアルバム。「私が殺したリー・モーガン」という邦題も付いているが、内容から原題通りの「モーガンと呼んだ」が適している。

全5曲、モーガンの作品。アルバムが出た当時は、ジャズ・ロックというジャンルで呼ばれ賛否両論があったらしい。しかし、間違いなく60年代を引っ張る牽引力を持っていた。マイルスはモーガンをかなり意識していたようだ。このアルバムThe Sidewinderには、マイルスも「やられた!」と思ったに違いない。裏返せば、マイルスが一念発起するきっかけになった一枚とも言える。

1. The Sidewinder
2. Totem Pole
3. Gary's Notebook
4. Boy, What A Night
5. Hocus-Pocus

Lee Morgan - trumpet
Joe Henderson - tenor saxophone
Barry Harris - piano
Bob Cranshaw - bass
Billy Higgins - drums

Recorded on December 21, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.