Keith Jarrett / Still Live

録音データを確認して、時の流れを感じた。Munich, West Germany on July 13, 1986とクレジットされている。つまり、まだドイツが東西分裂していたときのライブ演奏。ドイツ再統一は、ずっと昔というイメージがあったが、1990年だったことを改めて認識。

さて、このトリオのスケール感は一体なんだろうか。ピアノ、ベース、ドラムという単純な構成で、無限の広がりを感じさせる音楽を描いている。しかも、多くのミュージシャンによって何度となく演奏されてきたスタンダード曲に対して、それを表現してしまうのだ。さらに、後戻りできないライブ演奏である。このトリオは1986年7月13日、ミュンヘンの地で頂点に達し、最高のパフォーマンスを演じた。さりげなく、文字を赤くしてTRIOをジャケットで示しているのも心憎い。最低なのは、敢えて邦題を付け『枯葉』としたこと。全く統一感がない。

Disc 1
1. My Funny Valentine
2. Autumn Leaves
3. When I Fall In Love
4. The Song Is You

Disc 2
1. Come Rain Or Come Shine
2. Late Lament
3. You And The Night And The Music - Extension
4. Intro - Someday My Prince Will Come
5. Billie's Bounce
6. I Remember Clifford

Keith Jarrett - piano
Gary Peacock - bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded on July 13, 1986 at Philharmonic Hall, Munich, West Germany.

Keith Jarrett / Standards Live

36年前のライブ演奏。決して古さを感じない。むしろ、聴けば聴くほど新たな発見がある。ゲイリー・ピーコックのベースソロの間に、キースのピアノがじわじわと入ってきて、主役がピアノに入れ替わる。そういう流れを聴くと、「えっ?こんなことやっていたのか!」と思わずニヤリとしてしまう。

アルバムStandards Vol.2が1985年にリリースされた頃から、通称”スタンダーズ・トリオ”と呼ばれるようになったと思うのだが、必ずしもスタンダードだけを演奏するトリオではない。例えば、本作に収録されたThe Wrong BluesとThe Old Countryは、自分が所有する他のアルバムでは見つからなかった。キースのディスコグラフィーを見ても、これらの曲が収録されたのは一度限りである。つまり、スタンダードを演奏しながらも、忘れ去られた曲の掘り起こし作業に努めていたことが分かる。

1. Stella By Starlight
2. The Wrong Blues
3. Falling In Love With Love
4. Too Young To Go Steady
5. The Way You Look Tonight
6. The Old Country

Keith Jarrett - piano
Jack DeJohnette - drums
Gary Peacock - bass

Recorded on July 2, 1985 at the Palais des Congres Studios, Paris.

Keith Jarrett / Changes

訃報が届いた。9月5日、ゲイリー・ピーコック他界。享年85。それに符合するようにアルバムChangesが手元に届いた。長年探していたアルバムだが、中古CDが高価で手に入れることができなかった。昨年、再発されたことを知り購入。まるで、ピーコックからの別れの挨拶のようである。アルバムStandards Vol.1 & 2と同時に録音されたセッション。スンダード集の2枚に対して、即興演奏によるもの。録音データが正しければ、1983年1月11日と12日の2日間で、3枚のアルバムを録音したことになる。

CD帯には、「偶発的に生まれた即興演奏をまとめた1枚」とある。だが、果たして偶発的だったのだろうか。2日間のセッションで、スタンダード11曲を一気に録音し、残りの時間はトリオでの即興演奏に挑戦してみようと三人(キース・ジャレット、ゲイリー・ピーコック、ジャック・ディジョネット)の狙いがあったような気がする。特にピーコックは、自分名義のアルバムTales Of Anotherの続編を作りたかったのだろう。そう考えると、ピーコックのベースの一音一音に凄みを感じてしまう。合掌。

1. Flying Part One
2. Flying Part Two
3. Prism

Keith Jarrett - piano
Gary Peacock - bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded on January 11 & 12, 1983 at The Power Station, Manhattan, NYC.