Keith Jarrett / The Cure

スタンダーズ・トリオの中でも地味な存在。その理由は2つ。落書きみたいなジャケット、そしてThe Cureというタイトル。ジャケット右下に小さく書かれているLive at Town Hall, New Yorkをタイトルにして、ニューヨークをイメージするイラストにしていれば、もっと脚光を浴びたはず。

そうしないのがECMらしくもあるが、そんな思惑を無視して邦題は「ボディ・アンド・ソウル」としてしまった。「ザ・キュア」では反応が低いと感じたのか。ECMの自信、国内販売ユニバーサル・ミュージックの不甲斐なさ。演奏の中身は、キース作The Cureを除いて、どれもスタンダード中のスタンダード。ところで、自分が所有するアルバムの中でタウンホールをタイトルに入れたのは、下記のように多数ある。ECMは重複を避けたのだろう。

Louis Armstrong / The Complete Town Hall Concert (May 1947)
Thelonious Monk / The Thelonious Monk Orchestra At Town Hall (February 1959)
Charles Mingus / The 1962 Town Hall Concert (October 1962)
Ornette Coleman / Town Hall 1962 (December 1962)
Charles Mingus / Town Hall Concert 1964 (April 1964)
Bill Evans / Bill Evans At Town Hall (February 1966)
Anthony Braxton / Town Hall 1972 (May 1972)

1. Bemsha Swing
2. Old Folks
3. Woody'n You
4. Blame It On My Youth
5. Golden Earrings
6. Body And Soul
7. The Cure
8. Things Ain't What They Used To Be

Keith Jarrett - piano
Gary Peacock - bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded on April 21, 1990 at The Town Hall, NYC.

Keith Jarrett / Tribute

なぜか、邦題が「オール・オブ・ユー」となったアルバム。このカタカナ表記を邦題と言っていいのか疑問。素直に「トリビュート」と何故にしなかったのか。もしくは、「ケルン・コンサート1989」でもよかったはず。不自然な邦題が付いてしまったことで、アマゾンの「ほしい物リスト」では長い間トラップできず、ようやく中古CDを最近購入した。

2枚組CDで全12曲。10曲はジャズプレイヤーへのトリビュートで、残り2曲(Sun Prayer, U Dance)がキースのオリジナル。ジャケットに次の10人のプレイヤーの名前が記載されている。Lee Konitz, Jim Hall, Nancy Wilson, Bill Evans, Sonny Rollins, Coleman Hawkins, Miles Davis, Anita O'Day, Charlie Parker, John Coltrane ー 2人の女性ボーカリスト(ナンシー・ウィルソン、アニタ・オデイ)には、どう考えてもキースとの接点は見いだせない。スタンダードを中心にしたライブ演奏は見事に成功。その後、アルバムを作る際の企画で、各曲にジャズミュージシャンを割り当てたのだろう。それが逆であれば、つまりミュージシャンを先に割り当てたのであれば、キースとしてはチャールス・ロイドを外すことはできなかったはず。で、やはり「ケルン・コンサート1989」とすべきアルバムだった。ECMは策に溺れた。

Disc 1
1. Lover Man
2. I Hear A Rhapsody
3. Little Girl Blue
4. Solar
5. Sun Prayer

Disc 2
1. Just In Time
2. Smoke Gets In Your Eyes
3. All Of You
4. Ballad Of The Sad Young Men
5. All The Things You Are
6. It's Easy To Remember
7. U Dance

Keith Jarrett - piano
Gary Peacock - bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded on October 15, 1989 at the Philharmonie in Cologne (Köln), West Germany.

Keith Jarrett / Paris Concert

1980年代後半、キースはクラシックに傾倒した。で、完全にクラッシック寄りのキースのアルバムを自分は所有していない。食わず嫌いなのは分かっているが、決定打がないと自分では勝手に想像している。そもそもジャズプレイヤーが、自分の守備範囲にクラッシックを持ち込んで勝負しても意味がない。キース自身は、自分をジャズプレイヤーとは考えていないのだろう。

このアルバムは、ピアノソロによる即興演奏という意味ではジャズのカテゴリーに入るが、リズムという大事な要素が演奏の前半では欠けている。だが、徐々にキースはリズムを意識し始める。そして、たぶんアンコールによるであろうラスト2曲はリズム重視であって、しかも仕上げはブルースなのだ。

1. October 17, 1988
2. The Wind
3. Blues

Keith Jarrett - piano

Recorded on October 17, 1988 at the Salle Pleyel, Paris.