Keith Jarrett / Tribute

なぜか、邦題が「オール・オブ・ユー」となったアルバム。このカタカナ表記を邦題と言っていいのか疑問。素直に「トリビュート」と何故にしなかったのか。もしくは、「ケルン・コンサート1989」でもよかったはず。不自然な邦題が付いてしまったことで、アマゾンの「ほしい物リスト」では長い間トラップできず、ようやく中古CDを最近購入した。

2枚組CDで全12曲。10曲はジャズプレイヤーへのトリビュートで、残り2曲(Sun Prayer, U Dance)がキースのオリジナル。ジャケットに次の10人のプレイヤーの名前が記載されている。Lee Konitz, Jim Hall, Nancy Wilson, Bill Evans, Sonny Rollins, Coleman Hawkins, Miles Davis, Anita O'Day, Charlie Parker, John Coltrane ー 2人の女性ボーカリスト(ナンシー・ウィルソン、アニタ・オデイ)には、どう考えてもキースとの接点は見いだせない。スタンダードを中心にしたライブ演奏は見事に成功。その後、アルバムを作る際の企画で、各曲にジャズミュージシャンを割り当てたのだろう。それが逆であれば、つまりミュージシャンを先に割り当てたのであれば、キースとしてはチャールス・ロイドを外すことはできなかったはず。で、やはり「ケルン・コンサート1989」とすべきアルバムだった。ECMは策に溺れた。

Disc 1
1. Lover Man
2. I Hear A Rhapsody
3. Little Girl Blue
4. Solar
5. Sun Prayer

Disc 2
1. Just In Time
2. Smoke Gets In Your Eyes
3. All Of You
4. Ballad Of The Sad Young Men
5. All The Things You Are
6. It's Easy To Remember
7. U Dance

Keith Jarrett - piano
Gary Peacock - bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded on October 15, 1989 at the Philharmonie in Cologne (Köln), West Germany.

Keith Jarrett / Paris Concert

1980年代後半、キースはクラシックに傾倒した。で、完全にクラッシック寄りのキースのアルバムを自分は所有していない。食わず嫌いなのは分かっているが、決定打がないと自分では勝手に想像している。そもそもジャズプレイヤーが、自分の守備範囲にクラッシックを持ち込んで勝負しても意味がない。キース自身は、自分をジャズプレイヤーとは考えていないのだろう。

このアルバムは、ピアノソロによる即興演奏という意味ではジャズのカテゴリーに入るが、リズムという大事な要素が演奏の前半では欠けている。だが、徐々にキースはリズムを意識し始める。そして、たぶんアンコールによるであろうラスト2曲はリズム重視であって、しかも仕上げはブルースなのだ。

1. October 17, 1988
2. The Wind
3. Blues

Keith Jarrett - piano

Recorded on October 17, 1988 at the Salle Pleyel, Paris.

Keith Jarrett / Still Live

録音データを確認して、時の流れを感じた。Munich, West Germany on July 13, 1986とクレジットされている。つまり、まだドイツが東西分裂していたときのライブ演奏。ドイツ再統一は、ずっと昔というイメージがあったが、1990年だったことを改めて認識。

さて、このトリオのスケール感は一体なんだろうか。ピアノ、ベース、ドラムという単純な構成で、無限の広がりを感じさせる音楽を描いている。しかも、多くのミュージシャンによって何度となく演奏されてきたスタンダード曲に対して、それを表現してしまうのだ。さらに、後戻りできないライブ演奏である。このトリオは1986年7月13日、ミュンヘンの地で頂点に達し、最高のパフォーマンスを演じた。さりげなく、文字を赤くしてTRIOをジャケットで示しているのも心憎い。最低なのは、敢えて邦題を付け『枯葉』としたこと。全く統一感がない。

Disc 1
1. My Funny Valentine
2. Autumn Leaves
3. When I Fall In Love
4. The Song Is You

Disc 2
1. Come Rain Or Come Shine
2. Late Lament
3. You And The Night And The Music - Extension
4. Intro - Someday My Prince Will Come
5. Billie's Bounce
6. I Remember Clifford

Keith Jarrett - piano
Gary Peacock - bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded on July 13, 1986 at Philharmonic Hall, Munich, West Germany.