Keith Jarrett / Solo-Concerts

CDは輸入盤2枚組、LPは国内盤3枚組。LPは油井正一氏がライナーノーツを担当し、キース・ジャレット自身が寄せた解説の和訳を掲載している。以下は、その中からの抜粋。1945年5月8日生まれのキースであるから、28歳になった時点での自己分析である。

私は「芸術(Art)」を信奉しない男だ。その意味で私はアーティストではない。私は私が生まれる前に存在した音楽というものならある程度信じる。その意味で多分私自身はミュージシャンとはいえない。私は人生を信じない。しかしこの問題を本当に深く考ええた人なら同じ結論に達するであろう。私は自分で創造出来る男だとは思わない。しかし創造への道は目指しているつもりである。私は創造の神を信ずる。事実このアルバムは、私という媒体を通じて、創造の神から届けられたものである。なし得る限り、俗塵の介入を防ぎ、純粋度を保ったつもりである。こうした作業をした私は何とよばれるべきであろうか。創造の神が私を何と呼んでくださったか、私はおぼえていないのである。

Disc 1
1. Bremen, July 12, 1973 Part I
2. Bremen, July 12, 1973 Part II

Disc 2
1. Lausanne, March 20, 1973

Keith Jarrett - piano

Keith Jarrett / Fort Yawuh

キースが20代後半に描いたジャズがここにある。それを、ビレッジ・バンガードのライブで実現し、一つの終止符を打ったかのように思えた。なぜならば、このライブの翌月1973年3月にローザンヌ、7月にブルーメンで、あのソロ・コンサートに挑んだからである。だが、このライブから一年後に、ほぼ同じメンバーでアルバムTreasure Islandをスタジオ録音。

メンバー間のインタープレイで組み上げていくグループサウンド。あたかも天からの啓示のように降り注ぐ「音」を受け止めるようなソロパフォーマンス。この上下の振幅を、キースは演じようとしていった。その最初の振動となったアルバム。今回、輸入盤中古CDを購入。LPより1曲多く、そのRoads Travelled, Roads Veiledという曲は、なんと20分36秒。アルバム全5曲の中で最も長い。

1. (If The) Misfits (Wear It)
2. Fort Yawuh
3. De Drums
4. Still Life, Still Life
5. Roads Travelled, Roads Veiled

Keith Jarrett - piano, percussion, soprano saxophone (tracks 1 & 5)
Dewey Redman - tenor saxophone, percussion, Chinese musette (track 2), clarinet (track 5)
Charlie Haden - bass
Paul Motian - drums, percussion
Danny Johnson - percussion

Recorded on February 24, 1973 at The Village Vanguard.

Keith Jarrett / Hamburg '72

ECMの戦略というか、気まぐれはよく分からない。1972年6月のライブ演奏を2014年11月にリリース。なぜに42年間も倉庫にテープをしまって置いたのか。チャーリー・ヘイデンが2014年7月11日に他界したため、急遽リリースを決めたのだろうか。ちなみに、ポール・モチアンは2011年11月22日に他界。

そして、ピアノを離れ、サックス、フルートを吹き、パーカッションを叩くキースに観客はどう感じたのか。ジャケット内には、そんなキースの姿を捉えた写真が数枚掲載されている。キースは、ピアノ以外の楽器を使いこなすが、それをライブで行うのは珍しい。所有アルバムのデータを調べたところ、本作だけであった。最終曲はヘイデン作の「チェ・ゲバラに捧げる歌」。本作の中でも珠玉のでき。1969年4月録音のヘイデン名義のアルバムLiberation Music Orchestraに挿入されている。そんな曲をライブで演奏したにもかかわらず、ヘイデン存命中にリリースしなかったECMの罪は重い。

1. Rainbow
2. Everything That Lives Laments
3. Piece For Ornette
4. Take Me Back
5. Life, Dance
6. Song For Che

Keith Jarrett - piano, soprano saxophone, flute, percussion
Charlie Haden - double bass
Paul Motian - drums, percussion

Recorded on June 14, 1972 at NDR Jazz Workshop, Hamburg, West Germany.