Keith Jarrett / Expectations

ジャケットにはA Little Essay On "Expectations"と題したキースによるショートエッセイが掲載されている(1999年1月付け、単語数907)。まず、eclecticism(折衷主義)についての話題から始まる。キースは、折衷主義そのものは肯定していて、自分は折衷的と見なされているようだが、それは違うと否定している。全体を構成するために、部分的な要素があるだけだと述べている。そして、このアルバム全体が一つの作品であり、Disc 1最初のVisionから、Disc 2最後のThere Is A Roadまでが首尾一貫してつながっていて、全体が一つのステートメントであると結んでいる。

エッセイには、興味深いエピソードが盛り込まれている。『アルバム作りに入った時、コロンビアの担当者と話をした。彼らは私が何をしようとしているのか気にしていなかった。「どんなことをやっているんだ?」と尋ねられ「ピアノ弾いているのさ」と答え、それで問題なかった。だが、アルバムのリリースから2週間後にコロンビアとの契約は破棄になった』。『90年代初め、コロンビアはこのアルバムをCDでリリースしたが、曲順をシャッフルしてしまった。今回は自分が最初から関わり、再登場させることができ感謝している』。キースがコロンビアに残した唯一のアルバム。そして、キースの辛口エッセイを採用したコロンビア。

Disc 1
1. Vision
2. Common Mama
3. The Magician In You
4. Roussillon
5. Expectations
6. Take Me Back
7. The Circular Letter (For J.K.)

Disc 2
8. Nomads
9. Sundance
10. Bring Back The Time When (If)
11. There Is A Road (God's River)

Keith Jarrett - piano, organ, soprano saxophone, tambourine, percussion
Dewey Redman - tenor saxophone, percussion
Sam Brown - guitar
Charlie Haden - bass
Paul Motian - drums
Airto Moreira - percussion

Recorded in Apr 5 - 27, 1972 in NYC.

Keith Jarrett / Facing You

キースの最初のソロアルバム。Solo-ConcertsやThe Köln Concertに比べると、認知度は低いが、ピアノソロに対するキースの原点はここにある。1970年に入り、キースはマイルスグループに参画。1970年6月録音のAt Fillmore、同年12月録音のLive Evil。その後、マイルスグループのヨーロッパツアーに同行。メンバーとスケジュールは後述する。

10月21日から11月7日までの6回の公演を終え、10日にオスロでこのピアノソロを録音。ヨーロッパツアーに出る前に、ECMのプロデューサーであるマンフレート・アイヒャーからソロアルバムの打診があったに違いない。キースはマイルスグループでのライブ演奏をしながらも、自身はオスロに焦点を当てたはず。そして、11月26日にフィルハーモニックホールでのセッションに参加し、マイルスグループを退団。ピアノソロに何らかの確信を得て、マイルスグループ退団を決心したアルバムとも言える。

1. In Front
2. Ritooria
3. Lalene
4. My Lady, My Child
5. Landscape For Future Earth
6. Starbright
7. Vapallia
8. Semblence

Keith Jarrett - piano

Recorded on November 10, 1971 at Arne Bendiksen Studio, Oslo, Norway.

* * *
Miles Davis - trumpet
Gary Bartz - soprano, alto saxophone
Keith Jarrett - electric piano, organ
Michael Henderson - electric bass
Leon "Ndugu" Chancler - drums
Don Alias, Mtume - percussion

1971年10月21日 イタリア / 22日 スイス
1971年11月3日 ユーゴスラビア / 5日 オーストリア / 6日 西ドイツ / 7日 スウェーデン

Keith Jarrett / The Mourning Of A Star

キース・ジャレットは、1971年7月と8月の計5日間で全24曲を録音。メンバーは、キースの他にデューイ・レッドマン、チャーリー・ヘイデン、ポール・モチアン。そして、Birth(誕生)、El Juicio(審判)、The Mourning Of A Star(流星)の3枚のアルバムに分け、『流星』が71年、『誕生』が72年、『審判』が75年にリリースされた。

最初にリリースされた本アルバム『流星』に収録された曲には、レッドマンは参加していない。というか、5日間のセッションはアトランダムに進められ、レッドマン不参加の曲をまずは集めたのだろう。トリオによる演奏だが、楽器編成を見れば単純なピアノトリオでないことがわかる。このアルバムでは、ジョニ・ミッチェルの曲All I Wantを取り上げていることが話題にされるが、1968年のアルバムSomewhere Beforeでは、同じメンバーでディランの曲My Back Pagesを演奏しているので、特筆すべき事ではないのだ。

1. Follow The Crooked Path (Though It Be Longer)
2. Interlude No.3
3. Standing Outside
4. Everything That Lives Laments
5. Interlude No.1
6. Trust
7. All I Want (Joni Mitchell)
8. Traces Of You
9. The Mourning Of A Star
10. Interlude No.2
11. Sympathy

Keith Jarrett - piano, tenor recorder, soprano saxophone, steel drums, overdubbed congas (track 3)
Charlie Haden - bass, steel drums
Paul Motian - drums, steel drums, congas

Recorded on July 8, 9 & 16 and August 23, 1971 at Atlantic Recording Studios, NYC.