Keith Jarrett / Gnu High

カタログ上はフリューゲルホーンのケニー・ホイーラー名義のアルバム。ただ、自分の中ではキースのアルバムである。1975年1月24日録音『ケルン・コンサート』の5ヶ月後リリースされたアルバムなので、キース名義で管理すると彼の変化を捉えやすい。

完璧なECMサウンド。それだけに、彼らは自分達のやりたい音楽をやっていたのかと、ふと疑問に思う。やらされていた部分はなかったのかと。特に、キースやデジョネットは、もっと自由に表現したかったはずと感じてしまうのだ。ところで、Gnu Highが何を意味しているのか、未だにわからない。1983年9月に発表されたフリーソフトウェア・プロジェクトGNUと無関係なことは確か。

1. Heyoke
2. Smatter
3. Gnu Suite

Kenny Wheeler - flugelhorn
Keith Jarrett - piano
Dave Holland - bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded in June 1975 at Generation Sound Studios, NYC.

Keith Jarrett / The Köln Concert

すでに時効を過ぎているはずなので書いてしまう。このアルバムは、マージャンでジャズ研の後輩から巻き上げた。その後輩は、このアルバムを買ったと自慢げに言っていた。40年以上前のその頃、学生にとっては、そう簡単には買えない価格だった。たしか、彼からは5千円ほどの勝ちで、すぐには払えませんと言ったので、だったらあのLPでチャラにするけど、と交渉が成立。どうしようもない先輩である。

果たして、キースはピアノ向かってから、曲想を思い浮かべたのだろうか。それが事実かどうかは、たいした問題ではない。1週間前に浮かんでいようが、前日だろうが、それは演奏者側の話であって、聴き手は瞬間の音を感じるだけである。この時の聴衆は、1,400名だったそうだ。地球上には2種類しかいない。ケルン体験者とそうでない人と。残念ながら、自分は後者である。だから、アルバムを聴くしかない。CDは2016年12月に1,620円で購入。

1. Part I
2. Part IIa
3. Part IIb
4. Part IIc

Keith Jarrett - piano

Recorded on January 24, 1975 in Köln, West Germany.

Keith Jarrett / Backhand

キースの前作Death And The Flower(邦題『生と死の幻想』)と、同じメンバーで同日に録音されたアルバム。しかし、評価は全く異なった。前作はスイングジャーナルでゴールド・ディスク賞を受賞。本作は蚊帳の外に追い出された。CDのライナーノーツでは、杉田宏樹氏がキースのいくつかのベストアルバムに、このアルバムからの曲がほとんど取り上げられなかったことを長々と書いている。そんなことは、素人でもデータを調べれば簡単にできる。大事なことは、前作が大いに評価され、本作が評価対象にすらならなかったことだ。

自分の分析は、ジャケットにあったと言いたい。前作には多額の費用をつけたが、もう予算が残っていなかった。気合を入れて2日間スタジオに入り込み、充実した演奏をしたつもりなのに、2枚のアルバムに分けられ勝手な評価をされたのである。芸術をビジネスにつなげるのは難しい。バックハンドで決めようとしたら空振りだった。確かに、キースの得意のうなり声はこのアルバムからほとんど聴こえてこない。

1. Inflight
2. Kuum
3. Vapallia
4. Backhand

Keith Jarrett - piano, flute, percussion
Dewey Redman - tenor saxophone, musette, percussion
Charlie Haden - bass
Paul Motian - drums, percussion
Guilherme Franco - percussion

Recorded on October 9 & 10, 1974 at Generation Sound Studios, NYC.