John Coltrane / Stellar Regions

コルトレーンのアルバムジャケットの中で最高の出来と言いたい。光の使い方、文字の配列、そして天空を見上げるトレーン。オリジナルLPのレイアウトより安定感がある。コルトレーンの死後に発見されたテープであるものの、世に出すべくして録音されたのだろう。別テイクを含む全11曲は一日で録音されている。つまり、あるコンセプトに基づいたセッションであった。

そして、ここにはファラオ・サンダースがいない。つまり、ガンの兆候があって体調に苦しんでいたはずだが、様々な実験を試みようとしたコルトレーンをここでは知ることができる。アルバム全体を通して静寂の中からのコルトレーンの叫びであり、ベースソロによる7曲目 Jimmy's Modeもアルバムに溶け込んでいる。1967年2月15日録音。95年10月10日リリース。30年近く眠っていた音源である。

1. Seraphic Light
2. Sun Star
3. Stellar Regions
4. Iris
5. Offering
6. Configuration
7. Jimmy's Mode
8. Tranesonic
9. Stellar Regions [alternate take]
10. Sun Star [alternate take]
11. Tranesonic [alternate take]

John Coltrane - tenor saxophone
Alice Coltrane - piano
Jimmy Garrison - bass
Rashied Ali - drums

Recorded on February 15, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Joni Mitchell / Mingus

ミンガスを讃えるためにジョニ・ミッチェルが創ろうとしたアルバム。ところが、制作に時間をかけているうちに構想が変わってしまったようだ。ミンガスは、ボーカルとボイスで入っているが、ジョニとは共演していない。そして、アルバムの完成を待たずにミンガスは他界した。

構想が変わったのは、ミンガスの体調によるものだったかは分からない。結果的に、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ジャコ・パストリアスなど、ミンガスとは関係の薄いメンバーが参加して、問題作にもならない作品ができてしまった。ジャケット裏の車いすに乗ったミンガスが、実に悲しげである。

1. Happy Birthday 1975
2. God Must Be A Boogie Man
3. Funeral
4. A Chair In The Sky
5. The Wolf That Lives In Lindsey
6. I's A Muggin'
7. Sweet Sucker Dance
8. Coin In The Pocket
9. The Dry Cleaner From Des Moines
10. Lucky
11. Goodbye Pork Pie Hat

Joni Mitchell - guitar, keyboards, vocals
Charles Mingus - vocals
Wayne Shorter - saxophones
Herbie Hancock - keyboards, acoustic piano
Jaco Pastorius - bass, brass arrangement
Peter Erskine - drums
Don Alias - congas
Emil Richards - percussion

Recorded in 1978 - 1979 at A&M Studios, Hollywood and Electric Lady Studios, NYC.

John Tchicai / Rufus

児山紀芳氏のライナーノーツには、このアルバム録音のいきさつが詳しく書かれている。「ビル・ディクソンとアーチー・シェップによるグループにジョン・チカイが参画。1963年9月から長期渡欧公演が決まり、2か月前からリハーサルに入った。グループ名は〈ニューヨーク・コンテンポラリー・ファイブ ― NYC5〉。ところが、渡欧前にディクソンが脱退し、ドン・チェリーに代わった。そして、渡欧を目前にした8月23日、チカイは自費を投じてNYC5の録音に臨んだ。ところが、ドン・チェリーが遅刻。やむなく、4人でこのアルバムを録音。チェリーが到着してから、NYC5によるアルバムConsequencesを録音することになった」。

なので、NYC5からチェリーを抜いたリハーサル録音とも言える。だが、決して手を抜いていない。なぜなら、すぐ手前に渡欧公演という希望があったから。だが、タイトル曲Rufusでの、チカイとシェップのアドリブのフレーズからは「チェリー、遅いぞ!」を連発しているように自分には聴こえるのだ。なお、本作はCD化されているが、輸入盤中古で2万円以上。この購入には手を抜くしかない。

1. Rufus
2. Nettus
3. Hoppin'
4. For Helved
5. Funeral

John Tchicai - alto saxophone
Archie Shepp - tenor saxophone
Don Moore - bass
J.C. Moses - drums

Recorded on August 23, 1963 in NYC.