Joni Mitchell / Mingus

ミンガスを讃えるためにジョニ・ミッチェルが創ろうとしたアルバム。ところが、制作に時間をかけているうちに構想が変わってしまったようだ。ミンガスは、ボーカルとボイスで入っているが、ジョニとは共演していない。そして、アルバムの完成を待たずにミンガスは他界した。

構想が変わったのは、ミンガスの体調によるものだったかは分からない。結果的に、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ジャコ・パストリアスなど、ミンガスとは関係の薄いメンバーが参加して、問題作にもならない作品ができてしまった。ジャケット裏の車いすに乗ったミンガスが、実に悲しげである。

1. Happy Birthday 1975
2. God Must Be A Boogie Man
3. Funeral
4. A Chair In The Sky
5. The Wolf That Lives In Lindsey
6. I's A Muggin'
7. Sweet Sucker Dance
8. Coin In The Pocket
9. The Dry Cleaner From Des Moines
10. Lucky
11. Goodbye Pork Pie Hat

Joni Mitchell - guitar, keyboards, vocals
Charles Mingus - vocals
Wayne Shorter - saxophones
Herbie Hancock - keyboards, acoustic piano
Jaco Pastorius - bass, brass arrangement
Peter Erskine - drums
Don Alias - congas
Emil Richards - percussion

Recorded in 1978 - 1979 at A&M Studios, Hollywood and Electric Lady Studios, NYC.

John Tchicai / Rufus

児山紀芳氏のライナーノーツには、このアルバム録音のいきさつが詳しく書かれている。「ビル・ディクソンとアーチー・シェップによるグループにジョン・チカイが参画。1963年9月から長期渡欧公演が決まり、2か月前からリハーサルに入った。グループ名は〈ニューヨーク・コンテンポラリー・ファイブ ― NYC5〉。ところが、渡欧前にディクソンが脱退し、ドン・チェリーに代わった。そして、渡欧を目前にした8月23日、チカイは自費を投じてNYC5の録音に臨んだ。ところが、ドン・チェリーが遅刻。やむなく、4人でこのアルバムを録音。チェリーが到着してから、NYC5によるアルバムConsequencesを録音することになった」。

なので、NYC5からチェリーを抜いたリハーサル録音とも言える。だが、決して手を抜いていない。なぜなら、すぐ手前に渡欧公演という希望があったから。だが、タイトル曲Rufusでの、チカイとシェップのアドリブのフレーズからは「チェリー、遅いぞ!」を連発しているように自分には聴こえるのだ。なお、本作はCD化されているが、輸入盤中古で2万円以上。この購入には手を抜くしかない。

1. Rufus
2. Nettus
3. Hoppin'
4. For Helved
5. Funeral

John Tchicai - alto saxophone
Archie Shepp - tenor saxophone
Don Moore - bass
J.C. Moses - drums

Recorded on August 23, 1963 in NYC.

Jimmy Smith / The Dynamic Duo

ダイナミック・デュオ。いい感じのタイトル。だけど、ジミー・スミスとウェス・モンゴメリーだけでなく、バックのミュージシャンも冴えている。録音には計3日を要していて、一発モノのセッションとは違うアルバム。ジャケットも、いろんな案を出して決めたのだろう。サンドイッチを食べ合っていて、決して品が良いとは思えないのだが、それなりの工夫をしたのだと思う。拍手を贈りたい。

ジャケット表紙には二人の名前しか記載されていないが、大事なのはオリバー・ネルソンの存在。所有する輸入盤CDのジャケット内には、大きくARRANGED AND CONDUCTED BY OLIVER NELSOMと書かれていて、英文ライナーノーツには、Leaping at this opportunity to praise long and loud, Jimmy Smith, Wes Montgomery and "the monster" Oliver Nelsonの一文がある。ネルソンを「モンスター」と称しているのだ。全5曲中の3曲がネルソンによるアレンジと指揮。ネルソンにはサンドイッチを贈りたい。とにかく、これは間違いなく名盤なのだ。

1. Down By The Riverside
2. Night Train
3. James And Wes
4. 13 (Death March)
5. Baby, It's Cold Outside

Jimmy Smith - Hammond organ
Wes Montgomery - guitar
Grady Tate - drums
Ray Barretto - conga (tracks 3,4,5)
Bob Ashton, Danny Bank, Jerry Dodgion, Jerome Richardson, Phil Woods - reeds (tracks 1,2,4)
Clark Terry - trumpet, flugelhorn (tracks 1,2,4)
Ernie Royal, Jimmy Maxwell, Joe Newman - trumpet (tracks 1,2,4)
Jimmy Cleveland, Melba Liston, Quentin Jackson - trombone (tracks 1,2,4)
Tony Studd - bass trombone (tracks 1,2)
Dick Hixson - bass trombone (track 4)
Richard Davis - bass (tracks 1,2,4)
Oliver Nelson - arranger, conductor (tracks 1,2,4)

Recorded on September 21, 23 & 28, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.